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「本のことども」by聖月

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2013年 04月 20日

2013年3月に読んだ本のことども

2013年3月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2498ページ
ナイス数:129ナイス

化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)感想
▲総じて斜め読み。文章が秀逸ときいて手に取ったのだが、それほどもなし。各章、出だしは読みやすいのだが、どうしても算数的足し算割り算的ロジックが出てきて、ただ単に筆の運びを楽しもうと思って読んでいたので、斜め読み。世界観は面白く、化石=DNAいっぱい、じゃないよ!というのはよくわかったのだが。
読了日:3月30日 著者:更科 功
握る男握る男感想
◎いやあ、思わず面白い。東野「白夜行」桂「嫌な女」奥田「噂の女」の男バージョンと言えばいいのか。ただ先の3作品だと主人公が悪女と呼ばれるが、男性主人公だと一味違うわけで、野望、策謀の男が主人公。これもまた少し違うが貴志「悪の教典」と似ているような。鮨を握ることで、少しずつ大きくなり、日本の食を牛耳るために、次々と裏と表の手を尽くし、のし上がっていく主人公(を補佐する男の視点で描かれている)。中々にその見えない謀略が飽きさせない。終盤までしっかりと読ませる。ただなあ、落としどころであの手では、少し乱暴な終盤
読了日:3月20日 著者:原 宏一
終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)感想
〇なんというか、知らなければ一過性の過去も、知らない部分に複雑さがあれば、全然違った様相を見せるなんて話なのだけど、知らないですむなら知らないほうがいい、知ったばかりにいらない罪の意識を感じるなんて話の裏返しでもある物語。よくよく考えたとき、元カノはやはり鼻持ちならない女だし、友人は不可思議さに包まれたままだし、主人公本人には悪意はないし、たとえあったとしても因果な結果を知らなければそれでよかっただけの物語。広義の意味のミステリーだが、いやこれはブンガクだというには芯がない。元カノの家族も描かれてないし。
読了日:3月19日 著者:ジュリアン バーンズ
ねにもつタイプ (ちくま文庫)ねにもつタイプ (ちくま文庫)感想
〇人にもよると思うが、例えば自分はヘンなこと考える奴だとたまに言われ、言われるのはたまにだが、考えるのはいつものことで、「もし我が家が逆さまになったら天井が床になるわけで、隣の部屋には桟を越えなきゃいけないし、トイレは入るの難しい・」とか「桜島と錦江湾、この湾の水が干上がったら、島まで徒歩で行けるだろうが、湾底の起伏は激しく・」そんなことを結構考えているわけで、そんなお仲間が発見できて嬉しく、中には「それ俺も思っていた!」なんて話もあって、この著者に大共感。まあ年代がアラウンド50でないとわからない話も。
読了日:3月19日 著者:岸本 佐知子
破産破産感想
◎最近の嶽本野ばらの小説の中ではナカナカのノリで一気読み。浪費癖のある宵越しの金を持たない著者の私小説的なところもあるが、とにかく登場人物たちがキャラ立ちまくりで面白い。主人公の元カノ、巫女の恰好をした魔術師、業界人の編集者たち、そして忘れてならないのが古書店の男。結局、本書は破産直前の書かなくなった作家と、稀覯本だら、幻本だら、少し本好きの香り漂う味付けと、あとは乗りにノッタ、嶽本野ばらの絶妙な筆の反射神経の面白さ。こりゃいいわ。面白い(^.^)ただし、野ばらワールドに慣れない人にはナニコレ的な一面も。
読了日:3月17日 著者:嶽本 野ばら
ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)感想
〇シリーズ3作目。大した盛り上がりはなく流した感じだが、それでもこのシリーズはそこそこ面白く、読んでいて苦にならない(いや、読めない体質とどもり巨乳という設定は、毎回ひっかかるが)。1作目と比べて、母親のこととか背景の謎っていうのがベースにしっかり食い込んできている。果たしてどのような解決に向かうのか。しかし、この作者、このシリーズ書くのに勉強を重ねているところがエライ。古書の来歴って、結構多面的で奥深いところがあるのがよくわかります。電子書籍化の時代。こういうことが、段々となくなってくるのでしょうね。
読了日:3月13日 著者:三上 延
本にだって雄と雌があります本にだって雄と雌があります感想
◎◎表題で気を惹くが、気を惹いても面白いの?って思うに留まるところが残念なところか。雄とか雌とかいうより、本って増殖したり、飛んだりするんでっせ、大阪弁的加えて思弁的物語。奥泉光、森見、そんな感じの軽妙文体。とにかく巧い。ただ、後半ボルネオ行軍記録がちょっと冗長で軽妙さに欠けるかな?舐めて文体を楽しみ、物語の展開の果ての連環に唸るべし。なんとなく読むのを避けてきた本書。いや読んで良かった(^.^)この作家は読み続けよう。ただデビュー作はイマイチ不評のようなので、遡っては読まないつもり。いやあ、面白かった。
読了日:3月10日 著者:小田 雅久仁
キミトピアキミトピア感想
◎◎やっぱ自分と舞城の波長は合うみたい。長編でないのを舞城が書くと、どうだらこうだら言う人があるが、自分から言わせると凄み満載。結局、粗筋も知らないまま手に取り、粗筋も落ち着かないまま終わってしまうのだけど、ビビビビくる感性に痺れっぱなし、圧倒されっぱなしの読書タイム。なかには、なんで話がそっち行っちゃうの?行っちゃうの凄過ぎだけど、みたいのもあって楽しさ満載。娘の受験の随行で携行した本書。この天性の感性は隣にいた娘には電波していないけど、お蔭様の幸あらんことを、舞城頼むで。
読了日:3月9日 著者:舞城 王太郎
しょうがの味は熱いしょうがの味は熱い感想
〇綿矢りさ姫らしい、現代的な手垢のついていない感性は不在。ただただ普通の恋愛小説。同じ男女を主人公にした中編が2つ収められているが、最初のお話は、お互いにすれ違いを感じている二人の夜の物語。もう一つは、そんな二人が離れて暮らし、お互いを思うお話。多分、自分がこの男性主人公の立場なら、掃除や色んな手際があわないこの女性との復縁はないのかな?まあ、主人公たちの行動や考えが自分にあわなくてもいいのだけど、これは誰の作品?と問われたときに、綿矢りさ姫と見破れないような平坦な文章の物語なのだなあ。直近の2作は不発。
読了日:3月3日 著者:綿矢 りさ

読書メーター


by kotodomo | 2013-04-20 07:15 | 読書メーター


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