2013年 05月 01日
2013年4月の読書メーター 読んだ本の数:4冊 読んだページ数:1563ページ ナイス数:93ナイス 検事の本懐の感想 ◎◎拾い物、その面白さに一気読み。佐方という検事が、全編脇役で登場する連作短編集。最後のお話なんて、ほとんど脇役的通行人みたいなのだが、その関与は浅くなく、全編を通じての収斂の章。見事。作者のオリジナリティに対して失礼な表現をすれば、横山秀夫的でもあり、最初の2編なんかは刑事コロンボ的でもあり、とにかく面白いのである。多少、作家としては若い表現もあるが(作家自身は若手ではないが、作品数として)、まあ全体がこんなに素晴らしい出来だと、そこは置いときましょう。多くの人に読んでほしい作品。読むべし!読むべし! 読了日:4月29日 著者:柚月 裕子 談志が死んだの感想 ◎◎巧い。談志の死を書きながらも、それのみに頼らない筆の運び。流石、落語もできる作家である(笑)落語にまつわる笑いも散りばめながら、どこか静謐な文章がハードボイルドと表現しては語弊があるか。題名の「ダンシガシンダ」は談志本人も口にしてきた使い古しの回文。上から読んでも、である。小和田雅子さまだ、わお!そんな回文もあったのか(笑)本書を堪能するには、作者の「師匠!」や「一回こっくり」、談春の「赤めだか」あたりを読んでおけば、より深く味わえるかな。自分は落語を聴く趣味はないのだが、全盛期の談志、聴いてみたい。 読了日:4月28日 著者:立川 談四楼 64(ロクヨン)の感想 ◎◎完璧な小説。面白さ200%。これまで短編ではこれでもかという冴えを見せながら、長編では冴えを見せなかった横山秀夫。650頁という大長編ながら、短編のような冴えが細部に行きわたり、いやあ凄いのなんのって。で、細かい冴えもありながら、壮大な物語の構成に脱帽。拍手です。最後の最後まで話のオチが読めない(読める人もいるかもしれないが)のは、ミステリーとしても完璧。途中、心が揺さぶられるのは、人間物語としても完璧。なんかこれを超える作品は、もう作者さえ描けないんじゃないかと思うほど、超絶な面白さ。読むべし!!! 読了日:4月20日 著者:横山 秀夫 この世のメドレーの感想 〇いつもの町田康なのだが、いつもより冗長。若輩者を懲らしめんがために、意味のわからん問答、寄る辺ない散策、そこまでは何も始まらずどこにもいかないいつもの世界なのだが、それが一転、沖縄へ飛び、ロックに飛び、そして結局元の世界に戻ってくるわけで、やはり町田節ではあるが、いつもは軽快で無意味な言葉の操りも、どこか独りよがり独り相撲的な勇み足が長文に及ぶと、読んでいてところどころ欠伸が出るのである。「東京飄然」とは趣が違った前回の「超然」。今回の「メドレー」はその流れにあるが、どこかキレに欠けるのであった、うくく 読了日:4月6日 著者:町田 康 読書メーター
by kotodomo
| 2013-05-01 19:58
| 読書メーター
|
アバウト
カテゴリ
ことどもカテゴリ
意外と書評が揃っているかもしれない「作家のことども」
ポール・アルテのことども アゴタ・クリストフのことども ジェフリー・ディーヴァーのことども ロバート・B・パーカーのことども アントニイ・バークリーのことども レジナルド・ヒルのことども ジョー・R・ランズデールのことども デニス・レヘインのことども パーシヴァル・ワイルドのことども 阿部和重のことども 荒山徹のことども 飯嶋和一のことども 五十嵐貴久のことども 伊坂幸太郎のことども 伊集院静『海峡』三部作のことども 絲山秋子のことども 稲見一良のことども 逢坂剛のことども 大崎善生のことども 小川洋子のことども 荻原浩のことども 奥泉光のことども 奥田英朗のことども 香納諒一のことども 北森鴻:冬狐堂シリーズのことども 京極夏彦のことども 桐野夏生のことども 久坂部羊のことども 黒川博行・疫病神シリーズのことども 古処誠二(大戦末期物)のことども 朔立木のことども さくら剛のことども 佐藤正午のことども 沢井鯨のことども 柴田よしきのことども 島田荘司のことども 清水義範のことども 殊能将之のことども 翔田寛のことども 白石一文のことども 真保裕一のことども 瀬尾まいこのことども 高村薫のことども 嶽本野ばらのことども 恒川光太郎のことども 長嶋有のことども 西加奈子のことども 野沢尚:龍時のことども ハセベバクシンオー様のことども 初野晴のことども 花村萬月のことども 原りょうのことども 東野圭吾のことども 樋口有介のことども 深町秋生のことども 『深町秋生の新人日記』リンク 藤谷治のことども 藤原伊織のことども 古川日出男のことども 舞城王太郎のことども 町田康のことども 道田泰司大先生のクリシンなことども 三羽省吾のことども 村上春樹のことども 室積光のことども 森絵都:DIVEのことなど 森巣博のことども 森雅裕のことども 横山秀夫のことども 米村圭伍のことども 綿矢りさ姫のことども このミス大賞のことども ノンフィクションのことども その他全書評一覧 最新のコメント
最新のトラックバック
|
ファン申請 |
||