2005年 03月 06日
ラストページでどんでん返し本の一見ラブストーリーというところまでは知っていた評者なのだが、少し勘違いしていて、それは本書の作りがA面6章、B面6章からなっており、思い込みでA面は男の立場から、B面は女の立場からという構成で成り立っていると思っていたのである。だからして、A面とB面を一章ずつ交互に読むような意地悪な読者になろうかとも思ったのだが、結局普通に驚きたいということで順序よく読んでいったし、勘違いは結局勘違いであって、一応A面は男性主人公の学生時代の恋愛で、B面は就職してから二人が乖離していくまでの話の構成となっている。一見ラブストーリーで、それだけ読むと、読ませる力は○止まり。まあ、こんなものなのかなってな具合で。ということで、本書内のありきたりな恋愛シーンから無駄話を始めていこう。 合コンである。コンパである。学生の集団見合いである。好かん!好かんかった!いや、行ったことはありますよ。多分2回。でも、普通にしていましたよ。しかしだなあ、本書に出てくる北原のように準備してくるやつはいるわけで・・・こら!北原!得意の手品の準備なんかしてくんな!ってな具合で、なんだかパーティーグッズの鼻眼鏡みたいなもの持ってきて笑かすやつがいたし、そんなのつまんないし、なのに女ども“おっかしい♪”なんて反応するし、馬鹿みたい、フンフン。先日もボックス席のあるショットバーで落ち着いていると、若い社会人男女が合コンしてたよ。みんなでヘリウム吸って、声がアヒルになるって言って喜んでいたよ・・・禁止!評者が総理大臣になったら、合コン法作って余興道具持ち込み禁止にしちゃるからね。でも実用的なものはOKよ。みんな下心持って集まってんだろ。だから、鼻眼鏡は駄目だけどコンドームは実用的で実に準備OKでよろしくて、ヘリウムは駄目だけどなんか気持ちよくなるような、あ!あたし駄目!もう我慢できないみたいな媚薬もOKで・・・(-_-)/~~~ピシー!ピシー!・・・ということで、合コンは好かんやった。でさあ、鼻眼鏡持ってくるようなやつが最後の最後まで仕切って、帰る方向は誰と誰が同じ方面だからって、小グループにわかれて女の子送らされてさあ、馬ッ鹿みたいにさあ、勝手に帰れよ、断れよ、固辞しろよ女ども、俺は一人で帰りたいんだからさあ、方面は一緒でも結局は違う駅まで送らなきゃいけないんだからさあ、ご迷惑になりますから♪なんて断れよ・・・って、もう24年ぐらい前の話。 海水浴である。もしくはプールである。女の子と二人で、もしくは男女のグループで。評者はそんなもの行ったことないし、意味合いも全然わからん。泳ぐっていうのは一人の行為ぞ。シンクロの練習じゃないんだからさあ。まあ、はしゃいで遊ぶって考え方もあるけど、男同士、女同士のほうが面白いんじゃないのかい?体力差、性差からして、そのほうが面白いぞ。はしゃぎながら、胸の谷間を意識したり、股間のモッコリを意識したりしたほうが楽しいなら、もう少し直截的に下着パーティーだとか、ノーパンしゃぶしゃぶ宴会(男女ともノーパンでしゃぶしゃぶを囲むという非常に近代的な祭事だ)だとか・・・(-_-)/~~~ピシー!ピシー!・・・ということで、男女混合海水浴は行ったことなかった。 というような、男女の若い恋が、社会人同士遠距離恋愛に至ってどうなっていくのかというのが、本書の表面上の作りである。でも、本書はミステリーなわけで、叙述ミステリーであることは理解力のある読者なら途中ひっかかりを覚える箇所がいくつかあって気付くわけで、その仕掛けに気付いた読者が、ラストページの種明かしを読んで“やっぱりね”と本を閉じてしまっては、本書の良い読者ではない。読了してから、本書のネタバレをネットでサーフィンしたが、本当の計算しつくされた構造に気付かぬまま頁を閉じてしまっている読者も少なくないのである。本書を読んで▲『ロートレック荘事件』筒井康隆程度(詳細は省略)の叙述ミステリーだと感じた読者はそこまで・・・残念!いとおかし侍。『生者と死者』泡坂妻夫をあたりの作品(詳細は省略)を平面的にここまで具現化できるのか!と感嘆した方は、評価は◎か◎◎だろう。でもね、ラブストーリーとして読んだとき、もっと読ませてほしかったね。読んでるときの楽しみとしては○なのよねえ・・・残念!いとおかし侍。(20050305) ※読んだけど、よくわからなかったという人は【ゴンザの園】謎解き『イニシエーション・ラブ』をご熟読を。評者もここまでは気付いていなかったという小ネタまで満載である。頭の下がる大研究小論文である。(書評No487) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-03-06 09:43
| 書評
|
Trackback(6)
|
Comments(4)
Tracked
from 活字中毒日記!
at 2005-03-06 21:19
タイトル : 3月新刊情報!
毎度のことながら予定より遅れました 今日は早くもひな祭りですね。でもなかなか暖かくならないのが残念です(*_*) そろそろ出版界も活気を帯びて雪解け状態となってきたような気配です(^。^) ◎単行本 まず直木賞作家から。 今や一番の売れっ子作家と言って過言ではないであろう、新直木賞作家・角田光代さん[:女:]、講談社から直木賞第一作が出版された。 ★『人生ベストテン』先月刊行予定だった『予定日ならジミー・ページ』は延期かな? いよいよ石田衣良さんの看板シリーズIWGPの第5弾が文...... more
Tracked
from 活字中毒日記!
at 2005-03-06 21:31
タイトル : 『イニシエーション・ラブ』 乾くるみ 原書房
イニシエーション・ラブ 乾 くるみ 《bk1へ》 原書房のミステリーリーグシリーズはどちらかと言えば私にミスマッチなシリーズなんだが、本作は他作に比べては読みやすかったような気がする。 予想通りいろんな論議を醸し出しそうな作品である。 巷でのレビュー等などを見てもいろんな見方があるものだなあと思ったりする。 作者の乾くるみさんはどうやら男性らしい。 女性だと思って読まれた方は性描写のきついシーンに驚愕された方もいらっしゃるかな。 ... more
Tracked
from 猫は読書の邪魔をする
at 2005-03-07 09:17
タイトル : 乾くるみ 『イニシエーション・ラブ』
イニシエーション・ラブ 乾 くるみ 特にネタバレはしていませんが、何の先入観もなく読んだ方が絶対に面白いので、もし未読でこれから読もうと思っている方はお気をつけください。 インターネットで本の情報や書評を数多く見られるようになったのはとても喜ばしく、楽しいことではありますが、時に弊害もあります。 特にミステリを好んで読んでいると、やはりネタバレという大きな問題が絡んできます。 この本は、刊行当時からちょっとした話題になっていました。何か仕掛けがあるらしい・・・と。 ...... more
Tracked
from 本を読む女。改訂版
at 2005-06-13 23:23
タイトル : 「イニシエーション・ラブ」乾くるみ
イニシエーション・ラブposted with 簡単リンクくん at 2005. 6. 1乾 くるみ原書房 (2004.4)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る くっそー・・・・やられた。 ... more
Tracked
from <img alt="ti..
at 2005-07-06 14:49
Tracked
from BOOKVADER
at 2006-08-16 18:20
タイトル : 乾くるみ - イニシエーション・ラブ (2004)
やられたよ、最後の2行で全ての物語がひっくり返る。これだよこれ、このゾクゾクくる読後感。所々に感じた違和感が一気に溶解。 なんの先入観もなく小説を読み始めたら古くさい80年代のラブストーリーなのだが、しかし!!最後の2行を読むともう一度最初から読み直さなくてはいけない。そしてその複線の張り方に驚愕。 しかも再度読み直すと「女ってこえぇぇぇぇ!!!」とガクガクブルブル状態になる。こいつらクセーことやってんなぁと思っていたのが実は!!! ああああ、これ以上はネタバレになるので書けない。 ...... more
Commented
by
四季
at 2005-03-07 17:00
x
体調はその後いかがでしょう。
聖月さんが寝込んでしまっただなんて、鬼の霍乱…? お大事になさって下さいね。 で、このイニシエーション・ラブですが、話は好きじゃないけど やっぱりすごいですよね。これで話が好きだったら良かったのになー。 やっぱりラブストーリーとしてもっと読ませてほしいですね。 リンク先のゴンザの園さんのとこ、凄い! これからじっくり拝見しようと思ってます。 「私が殺した少女」は◎◎ですね。うふふ、嬉しいなあ。
0
「私が殺した少女」は読んでて楽しかったですもん。文章や文体が楽しくて(^.^)
体調は、最悪は過ぎたような。 でも食欲なんくて薬飲むために飯食っているような。 今、事務所の南方系イケメン男君がお見舞いにきて帰ったとこなので起きたとこなのです。 帰り際に、「僕のことも今度“ことども”に書いていいですよ」って、書いて欲しいみたいです(笑)。今度書こうかな。 ゴンザさんとこは凄いですよ。他の書き込みで意味が深いセリフと思ったのが「一回目もたっくん、二回目もたっくん、ずっとたっくん」というやつ。 ずっとたっくんいけるのかなあ?
わわわ。お返事すっかり遅れてゴメンナサイ。ゴンザです。
いやあ、私のブログをご紹介いただけただけでもありがたいのに、えらいお褒めの言葉まで頂いて、まったく嬉しい限りです。 あの記事は、読んだ後に「どっかにネタをまとめてあるサイトないかなあ?」と探したんですけど、なかったのでしょうがなく自分でコツコツ時系列の表などを作り始め、そしたら面白くなってきて色々分析しだし、じゃあ自分のブログに載せちゃおう、という感じで出来たものです。ここまでみなさんにほめてもらえると、素直に嬉しい! 「一回目もたっくん、二回目もたっくん、ずっとたっくん」については、「実は第3のたっくんがいるのでは? 辰也は妊娠させないように気をつけていたらしいし、おなかの子は第3のたっくんの子では?」という説を唱える人がいるとかいないとか。 さらには「ホントに妊娠してたのか? 辰也は産婦人科の中まで入った記述はないし、マユは辰也との関係を切りたくて、一芝居うったんじゃ?」という説まで飛び出す始末。 こわっ! みんなマユ不信に陥ってますね。
いや、本当に念入りな研究で。
マユ不信なんですが、よく考えたとき、割とそんなもんじゃないかって、恋愛。堕胎の部分さえなければ、よくあるかけきひきなんじゃないですかね。私しゃ、そんな恋愛に巻き込まれるような若い経験がなかったので、でもそんなもんかなあと。 上の2例はちょっと眉唾ですが、色んなところにいろんなものが埋め込まれていそうな本ですね。 |
アバウト
カテゴリ
ことどもカテゴリ
意外と書評が揃っているかもしれない「作家のことども」
ポール・アルテのことども アゴタ・クリストフのことども ジェフリー・ディーヴァーのことども ロバート・B・パーカーのことども アントニイ・バークリーのことども レジナルド・ヒルのことども ジョー・R・ランズデールのことども デニス・レヘインのことども パーシヴァル・ワイルドのことども 阿部和重のことども 荒山徹のことども 飯嶋和一のことども 五十嵐貴久のことども 伊坂幸太郎のことども 伊集院静『海峡』三部作のことども 絲山秋子のことども 稲見一良のことども 逢坂剛のことども 大崎善生のことども 小川洋子のことども 荻原浩のことども 奥泉光のことども 奥田英朗のことども 香納諒一のことども 北森鴻:冬狐堂シリーズのことども 京極夏彦のことども 桐野夏生のことども 久坂部羊のことども 黒川博行・疫病神シリーズのことども 古処誠二(大戦末期物)のことども 朔立木のことども さくら剛のことども 佐藤正午のことども 沢井鯨のことども 柴田よしきのことども 島田荘司のことども 清水義範のことども 殊能将之のことども 翔田寛のことども 白石一文のことども 真保裕一のことども 瀬尾まいこのことども 高村薫のことども 嶽本野ばらのことども 恒川光太郎のことども 長嶋有のことども 西加奈子のことども 野沢尚:龍時のことども ハセベバクシンオー様のことども 初野晴のことども 花村萬月のことども 原りょうのことども 東野圭吾のことども 樋口有介のことども 深町秋生のことども 『深町秋生の新人日記』リンク 藤谷治のことども 藤原伊織のことども 古川日出男のことども 舞城王太郎のことども 町田康のことども 道田泰司大先生のクリシンなことども 三羽省吾のことども 村上春樹のことども 室積光のことども 森絵都:DIVEのことなど 森巣博のことども 森雅裕のことども 横山秀夫のことども 米村圭伍のことども 綿矢りさ姫のことども このミス大賞のことども ノンフィクションのことども その他全書評一覧 最新のコメント
最新のトラックバック
|
ファン申請 |
||