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2005年 05月 27日
以前にも少し触れたことがあるが、評者は図書館で読みたい本を探すとき、その背表紙を速読のように斜め読みしていく。何を借りようと思って図書館に行くのではないのだが、面白い本、読みたい本の名前は、ある程度頭にインプットしてあるので、そういう捜し方で充分なのである。ある所で、視点が止まって、本を引き出し、5冊選んで貸し出しの手続きへ。この一連の作業は、国内単行本コーナーを相手にすれば大体20分の作業である。定期的にそんな作業をしていると、そのうち読みたい本がひっかかってこなくなりそうだが、そんなことはない。結構、見落としが多いし、意外にいい加減に眺めているからなのでもある。 本書も、ずっとそこの棚にあったはずなのに、見落としていた本である。評者の知識の中でも、その存在すら知らなかったというのも一因ではあるのだが、普通著者別に分類されている本が、複数作家のアンソロジーであるため、分類番号コシ(孤愁の読み二文字)を与えられ、カ行の作家の最後の方、コで始まる作家名のところに置いてあったせいでもある。今回目に止まったのは、背表紙に書かれている小さな複数の作家名の中に、稲見一良の名があったからであり、よく確認すると著名な作家がずらり並んでいたからである。稲見一良、小川竜生、岡村隆、風間一輝、黒川博行、斉藤純、真保裕一、多島斗志之、高村薫、貫井徳郎、花村萬月、樋口修吉。わからない人にはわからないが、わかる人にはわかる名前がずらりである。 借りてきてからインターネットで調べてみると、「野生時代」に掲載されたハードボイルドのみを集めた作品集らしい。面白かった。そいでもってインターネットで調べてみたら、本書は版元品切れ、重版未定、文庫もなし、およそ図書館や古書店でなければ出会えない本である。 イヒヒ、ヒヒヒ。評者は読んだぞ。面白かったぞ。ヒヒヒ。 しかしながら、例えば先日角川文庫で復刊した「花見川のハック」稲見一良には、本書内での作品「曠野」が載っているので、その他の作家の作品も他で読めるのかもしれない。総ての作品がその可能性を持っているとは思わないが。例えば、高村薫はよく知っている作家なのだが、評者の知識の範囲では、「日吉町クラブ」は他では読めない作品かと思う。まあ、他で読めようが読めまいが、ここにひとくさりになっている本が存在するというのがいいのだな。イヒヒ。 その、高村薫「日吉町クラブ」全35頁の作品。競馬場で知り合った4人の男。ある会社社長の誘拐を企てる。目的は身代金にあらず。誘拐の後、日数が経てば無事開放の予定。そう、あの名作「レディ・ジョーカー」の下地がここにあったのである。どう読んでも、上から読んでも下から読んでも逆さに読んでも声に出して読んでも、あの名作の下地に相違ない。こういう出会いがあると、嬉しくなる。 その他の作家の作品も、逸品中の逸品、イヒヒ、ヒヒヒ。ワシハ コノホンニ デアエタ。 オヌシラハ デアエルカナ?ヒッヒッヒ!! ※少なくとも鹿児島市内の方なら、鹿児島市立図書館で出会える本。 鹿児島県立図書館では出会えない。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-05-27 07:27
| 書評
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