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2005年 06月 07日
のっけから面白い。江戸流れの幇間(たいこもち)一八(いっぱち)が、初めて訪れた四国讃岐の小藩の、城下をひょいひょいと歩いているところから物語は始まる。江戸の幇間(←「よっ旦那、今日もマゲが決まってますね」「お前も当たり前のことをズケズケ誉めるね。でも今日は、俺もいいことがあったから一緒にいっぱいやるか」などということを生業にする江戸時代のヨイショ男)だから、桜色の衣装を羽織っていたりするので、目立つことは目立つのだが、それにしても行き交う人すべてが、変な目でジロジロ見るのは合点がいかない、妙なもんだと考え始める。 最初に話をすることとなった数馬という若武家から、その理由を教えてもらえるのだが、その数馬も出会ったときは、動き回るニワトリの数を数えているのだから、これも妙なもんだと考える。 実は、表題の「冷飯」とは、長男としては生まれず、そのため御家代代の藩の禄もない、もっと簡単に言えば、仕事のない次男武士達のことである。仕事が無く収入もないから、冷飯をわけてもらうような立場である。仕事が無いとはいえ、家でゴロゴロできる立場でもないので、自分の居場所を探さなければいけない。先の数馬は、ニワトリを数えることで時間を費やしているところだったのである。この冷飯たち、1日中釣り糸を垂れてる者、凧揚げに精を出す者等それぞれの居場所を持っているのだが、暢気な外見の裏側で、心の内に覚悟を持っている。それが、この物語の底流をなしている。 そういった冷飯たちの生活を読み進めていくうちに、果たしてこの物語は何処へいくのだろうという疑問が湧いてくる。この疑問は、藩を挙げての将棋大会が開かれるくだりで得心へと変わるのだが。 それにしても、この物語、題名の通り風流であり、長閑(のどか)である。説明しがたい味がある。滑稽本と紹介している新聞記事もあったが、それもやはり違う。読んで感じてくれとしか言いようがない。 さて、評価の〇に騙されてはいけない。説明しがたい味があるので、最低でも〇は保証しようというものである。読む人によっては、◎だったり、◎◎だったりするはずである。評者としては、ちょっと態度保留。2作目にあたる「退屈姫君伝」で、再評価することにしよう。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-07 13:08
| 書評
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Trackback(5)
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Comments(2)
はじめまして!退屈姫シリーズ、とっても面白いですよね。
独特の、ほのぼのした感じが大好きです。 まだ3冊しか読んでいないので、望月さんのブログを参考に、 読みすすんでいきたいと思います!宜しくお願いします。
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三四郎さん はじめまして(^.^)
いいですよね。やはり風流冷飯伝がベースにあって、この人の作品が流れていくという雰囲気がいいですね。 めだか姫、かあいいしい(^.^) 参考になれば幸いですが、馬鹿なことばっか書いていますので(^^ゞ でも退屈姫君シリーズはそこまで馬鹿書いていないかな(^.^) |
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