2005年 06月 09日
評者の家の2階のトイレは、評者専用のトイレである。"このトイレは我が輩のトイレである。家族といへども使ってはならぬ"と言ったわけではなく、2階に自分の書斎と、それぞれの子供のための部屋が2部屋あることはあるのだが、子供はまだ小さいので、寝食遊勉を1階でおこなっている結果なのである。日常、2階の住人は評者だけなので、自ずとトイレは専用になってしまった。自分専用のトイレであるから、長々と本を読んでも誰も文句を言わないし、逆立ちをしてもいいし、物真似の練習をしてもいい。そんなことしないが。 当然、本が置いてある。ところが、置いてある本というのは雑誌の類いであり、それも本にまつわる雑誌である。雑誌ダカーポの本の特集号だとか、このミステリーがすごいだとか、これが何度眺めても飽きない。まあ、30冊くらいが置いてある。その雑誌群の中に、1冊だけ本と呼べる体裁をなしているのが本書である。 実は、評者はこの5年間、毎年指宿市で開催される"菜の花マラソン"の10Km種目にエントリーしている。もともと長距離は、大嫌いであった。今も好きではないし、何も好き好んでそんな苦しい思いをしなくともという大概の方の気持ちはわかる。最初は、誘われて気乗りせず参加したのだが、家族を連れて行って、菜の花街道を走って、評者が帰ってくるまでの60分間、家族は競技場の芝生で遊んだり、出店のうどんを食ったりと、結構楽しいレジャーなのである。年に一度の家族レジャーのうちのひとつなのである。 10Kmを60分で走るというのは、全然速くない。情けないが、毎年、マラソンの時期に10Km走れる脚力を作って、完走するのが評者の目標である。そんなことを4年も続けていたら、コンドハ、チョットハヤクハシッテミヨウカナという考えが浮かび、前回の大会前に買ったのが本書である。インターネットで探したが、マラソンの本は沢山あっても、10Kmに関する本は本書のみであった。 初歩的な本であり、内容もそこまで濃いものではないが、トレーニングをする上での考え方が参考になる。本書を読まないうちは走るだけの練習になっていたが、本書を読むと考えながら走るようになる。 いつもより、前に出した足を高くあげて走ってみなさい。ジョギング的に走るだけの練習だけではなく、短距離のインターバルも練習に組み込んでみなさい。普通の市民ランナーは、道路や公園で走ることが多いが、たまにはトラックで走ってみなさい。走るための体力作りと合わせて、ストレッチを励行してみなさい。いつもより速度をグッと落として、いつもより長い距離を走ってみなさい。 今まで、ただ単に走るだけ、苦しいだけの練習が、いろいろ考えながら楽しく走る練習に変わった。前回の大会は、本書を手にとってから期間が短かったため、速くは走れなかったが、例年より楽に走ることができた。本書をトイレに置いてあるのは、時々眺めて、早く練習始めなきゃという自分への喚起の意味である。とうとう今年も申込書が届いた。 余談ではあるが、嫁さんは子供二人の手がかからなくなったら、夫婦で一度は走ってみたいと考えている。評者は、子供も嫁さんも応援なんて面倒臭いという時期がきたら、一度はフルマラソンを歩いて(走ってではない)みたいと思っている。家族連れでフルマラソンに出場したら、待って応援する方は、何時間待っても待ち人来たらずだからである。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-09 19:44
| 書評
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