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2005年 06月 30日
『破線のマリス』で乱歩賞を受賞した野沢尚。その作者の本を初めて読んだのが本書『龍時01-02』である。最初で言おう。読むべし、読むべし、べし、べし、べし。内容はサッカー小説である。えっ?サッカーよく知らない?だから読まない?何言ってんの。警察に特に興味があるわけじゃないのに横山秀夫の警察小説楽しいでしょうに。探偵なんて身の回りにいないのに、読んでみりゃ面白いでしょうに。猟奇殺人を実生活で忌避する癖に、猟奇殺人ものも平気で読むでしょうに。えっ?スポーツは見ない?水泳の飛び込み競技をちゃんと見たことないのに、森絵都『DIVE』シリーズにワクワクして、今度オリンピックがあったら、飛び込み見ちゃおうかななんて思ったでしょうに。えっ?ルールを知らない?将棋の駒の動かし方しか知らないのに、大崎善生『聖の青春』『将棋の子』で感動して、泣いたでしょうに。ということで、2002年日韓ワールドカップのサッカーの試合を一試合でも観た、よくわからなかったけど観た、という人は、それだけで本書を読む資格あり。読むべし。 リュウジとう高校生が、狭い日本を飛び出し、スペインへと向かって世界のサッカーへの挑戦を始める。はい、粗筋終わり。これだけ。とにかく、読みなさい。 ところで、本書が出版されたのは、日韓ワールドカップの前で、主人公のリュウジもベスト4を予想しているところが興味深い。リュウジは、フィーゴのいるポルトガル、ベーロンのいるアルゼンチン、トッティのいるイタリア、ジダンのいるフランスと予想しているが、どうだったかな?実際は? それとよく聞かされる国ごとのサッカースタイルも、要領よく書いてあって興味深い。世界で一番つまらないが、勝つサッカーをするイタリア。華麗なドリブルのブラジル。勤勉なドイツ。スペクタクルな見世物として面白いスペイン。多彩で組織的なフランス。そして変幻自在でまるで予測のつかないポルトガル等々。 作者野沢尚は、実はあの「ドーハの悲劇」から、サッカーにドップリつかりだしたらしい。本書でもあのシーンが言及される。対イラク。そうそう、あのイラクだったんだねえ。ムッシンの前に三浦知良。そしてボールはあがり、オムラム・サルマンの頭からゴールへ。へたり込む日本の選手たちの様子は今も覚えているぞ。それにしても結果論ではなく、ムッシンの前に三浦知良の映像を見たとき、マズイ!!と大声で言った当時の評者なのである。全員守備はそれでいい。でも、ディフェンスの専門家ではない三浦知義がセンタリングのディフェンスなんて。ゴール前の頭数ディフェンス、ワンオブゼムじゃなきゃ!と思ったら案の定、ガックシ。 そうそう、評者のサッカーに対する知識度だが、普段は全然観ない。体育の授業でやるのは大好きだったなあ。ワールドカップは、マラドーナのための大会と言われたときに、一番多くの試合を観たような気がする。ということで、あらためて今朝の新聞のJリーグ欄を眺めてみると…おお、ビスマルクが出したパスをカズ(三浦知良)が決めた、へ~え、神戸でまだ頑張っているんだね、カズ。 あ、忘れていた。実は評者、本書を読み終えてから、もう一度ページを繰ったりして考え込んでいたのである。題名の龍時は主人公のことだが、01-02とは何ぞやと。しばらくしてわかった。ああ、リュウジの2001年から2002年のお話なのだと。確か続編は最近出たような。(20031026) ※日本人100人に聞きました。答えは一つ。100名とも同じ答え。この名前は何と読むでしょう? Q.三浦知良 A.みうらともよし 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-06-30 00:33
| 書評
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Comments(4)
野沢尚さん、けっこう好きだったので、サッカー全然わかんないけど読みましたよ、コレ。
未完のままになっちゃいましたね。。。。 この人の本、もっと読みたかったな。
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ボクも02-03まで読みました。
(文庫で読んでるので03-04はまだですが。) ほんと、一瞬ノンフィクションかと思うくらい、 リアリティーがあるんですよね。 サッカー好きとしては、 現実じゃないかと夢見ちゃいます。 リュウジがいればな〜って(笑)。
junjun_ma23kiさん 実は私、野沢尚、このシリーズしか読んでいないんですよね(^.^)
でも、好きだなあ、こういの。 未完のままでしたけど、悪くない終わり方・・・でも、作者が思っていたラスト、訊きたかったなあ。
dai_222さん 私は図書館派ですので、03-04まで読んでいます。
一応カテゴリーには野沢尚龍時のことどもは作ってあるのです(^.^)野沢尚読みじゃなかったですが、龍時読みなので。 でも、一作目で出てきた、体の中の龍はその後どこ行っちゃたんでしょう(笑) |
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