「本のことども」by聖月

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2005年 07月 01日

〇「誰か」 宮部みゆき 実業之日本社 1524円 2003/11


 予告どおり、鹿児島の地を離れ、嫁さんと二人の娘を置いたまま、単身東京に来てしまった評者は、今新しい住まいでキーボードを叩いている。のだが・・・お尻の下に変な物が存在している。この瞬間、他人が評者の姿を覗いたら、多分に滑稽なのかもしれない。えっ?お尻の下に何があるかって?それを語る前に新居を語ろう。

 1ヶ月に1回は鹿児島には帰るのだが、とりあえずスーパーサラリーマンにはやはり東京が似合うので、ビジネスの拠点を東京に移すべく上京。その際に、住まいのことやその他現地入りしてからのことは、ビジネス仲間に託していた評者なのである。“住まい決まりましたよ”“え?ホント。どこ?六本木?赤坂?白金台?どこ?教えてちょ。”“荒川区です”“え?荒川?エグゼクティブな俺が荒川?”“荒川は、聖月さんが住むためにできたような街です!”そんな殺し文句ひとつで納得してしまう評者。で、1週間前に上京。初めて見る新居。う~ん、エグゼクティブでハイソな住まいである。なんせ、建物の名前が違うのである。コーポ鹿児島とか、レジデンス種子島とか、よく建物名の前に名は体を現す言葉が付くものだが、評者の住まいは、な、な、なんと、ドミールなのだ。ドミール○○。う~ん、庶民のあなた方には聞きなれない単語かな、うんうん。説明しよう、いい加減に(笑)。ドミールとは、古代ローマ語に由来し、しかしてその意味はイタリア語で「日本円にして、買えば一億円はくだらないだろうと思われる、大方の荒川区民には手が出ないであろう超高級居住空間」という意味である、ワハハ。凄いだろう。イタリアリラと日本円の為替相場が今いくらか知らんが、とにかくそういうことなのである。どうだ、参ったか、ワハハ。

 で、いくらハイソサイエティな生活といっても、やはりバーには冷蔵庫も必要だし、プライベートルームにはベッドも必要なので、最低の生活設備も事前に用意をお願いしていたのだが・・・これがどうもハイソではない。なんか、民族交流、アジアはひとつみたいな品揃えなのである。例えば洗濯機。これが韓国のメーカーのなんとかダスミダみたいな名前の製品。さすがに説明書は日本語だが、選択終了のお知らせメロディーが冬のソナタの主題歌(あるのか、そんなの?観たことないからいい加減に書いているが)なのが、どうも風流である。掃除機は中国製。これは、日本製と基本的に変わりないのだが、説明書と一緒に『毛沢東語録』が一緒に梱包されていたのが、これもまたいとおかし。読んだら書評を書こうかしらん。

 まあ、馬鹿話はさておいて(本当の家賃は10万しません、はい、ごめんなさいm(__)m)、新居に住みだすというのは、基本的な設備は揃えたといっても、ないない尽くしの生活環境なのである。初日から、初うんこ発射~!初トイレじゃ~!なんてトイレに駆け込もうとして、ああトイレットペーパーないじゃんと、内股歩きでコンビニに。宅配便で嫁さんから衣類が届いて梱包はずして出してみて、結局洋服箪笥がないのでまたダンボールに戻して~みたいな、このままこのダンボールを衣類入れにしちゃおうかな~みたいな、あ~鹿児島に戻りた~いみたいな、そんなスーパーサラリーマンのこの一週間の生活だったのである。まあ、正直言って、鹿児島の家族と東京の自分の二重生活という考えを根本的に嫌っている評者なので、東京は仮の住まい、ドミールだけど仮の住まいと思っているので、代用品で済ませられるものはそうしているのが現状なのである。ああ、少しケツが痛くなってきた。枕を載せるべ。おお、いいじゃん。

 で、尻の下の物の話。今、この原稿をPCで書いているわけだが、この部屋フローリングなのである。そこにベッドとテレビがある。もう一部屋はキッチン。冷蔵庫のみ。そこで評者は考えるわけである。どうやってパソコンうつべ?評者は賢い。テレビをテレビ台から降ろすと、床上50センチのテーブルが出来上がり。あとは椅子じゃ。クッションすらない部屋であなたならどうする?実は今評者のお尻の下の床には、まず傷がつかないよう新聞紙が敷いてあって、その上にお風呂の椅子が置いてあるのだ。あのプラスティックの。真ん中に穴があいているやつ。なかなかどうして、作業的には問題ないぞ。ただ、この椅子、長く座るために作られていないので、ケツが痛くなるのが欠点だ。でもさっき枕をクッションの代わりにするというウラワザを発見したのでOK。テレビのウラワザ番組に出してみようかな♪でも、誰でもいいから、今からいうもの持ってたら譲ってほしいな。立派な机椅子。立派な本棚。立派なカウチ。立派なDVDホームシアター。立派で健康的な家政婦さん。立派なポット。立派ないろいろ。ねえ、誰でもいいから。誰か。

 以上が、本書『誰か』の書評の長い長いマクラである。内容はな~んも関係ない。ただ、最後に“誰か”の言葉で結んでみただけのお馬鹿なマクラであるが、まあ、全国、じゃあなかった、全世界の聖月さんのことなら何でも知っておきたいの♪みたいな、特に女子高校生に多い聖月ファンとしては、嬉しい情報だったんじゃないかな。

 それはさておき『誰か』宮部みゆきである。以前にも書いたように、評者の初みやべは『火車』である。評価は×である。そのまま放っておいたのだが、最近になって『ブレイブ・ストーリー』を読んで滅茶苦茶面白くって、ああ内容にもよるんだな、少し読んでみようかな宮部と思っていた評者なのである。そして先日図書館で『模倣犯』を借りて読み始め、20ページくらいで読むのをやめた。不吉な予感がしたのである。文体は平易で合わないし、それより何より話のテンポが全然合わないと感じたからである。分厚い本は嫌いではない。でもカッタルイまま最後まで読むのは地獄なのである。

 と、そこへ、実の母親が買ったから読むかと持ってきたのが本書なのである。買ったから読むかと言われても、持ってきたけど借りてくれるかというようなもので、いや読みません、そのままお持ち帰りくださいとは言えないので、結局借りて、借りた本は返さないといけないという法律があるので、仕方なく読み始めた評者なのである。読み始めると、意外に面白そうな感じ。父親が自転車に跳ねられ、打ち所悪く亡くなり取り残された姉妹。その姉妹が、その自転車に乗っていた人物が自ら名乗り出るよう、父親の半生を本にして世に出し訴えようと考える。その仕事がなぜか主人公のもとへ依頼されるのだが、その書き出しの部分は中々面白い。おう、これはユーモア小説に挑戦したな、みゆきめ、とワクワクして読み進めたのだが、途中からはガックシだったのである。中盤からはユーモアを盛り込んだ描写は鳴りを潜めるし、何しろ話が何も展開しないのである。読みながら、なぜ自分が『火車』をつまらないと感じたのかを思い出しもした。『火車』も本書『誰か』も、話が全然展開しないし、結局のところ、つまるところ、終わってみると内容なんて何もないのである。『火車』は、戸籍の怪しい女を調べました、ただそれだけでしたっていう話で、本当のところその女がどういう女だったのかはよくわからないまま、はいオシマイなのである。本書『誰か』も、死んだ父親の過去を調べました、ただそれだけの話なのである。

 この一週間、評者は荒川区を暇を見て散歩してる。街角ウォッチングをしながら、街角の風景を調べながら、ああ、荒川ってこんな街なのね、って評者なりの結論を心の中に蓄積していく毎日なのである。それだけで、小説にしてしまってはいけないのである。本当の荒川区とはどんな街なのか、色んな側面、事実から再度検証して、心の中で育てた幻の荒川区と、実際に人の歴史が築いてきた荒川区との差異を提示して、初めて第三者が興味を持つ話になるんじゃないのかな。

 結局宮部みゆきという作家は、評者には合わないような気がする。(20040509)

※ドミールの本当の意味は、自分で調べてくださいな(笑)

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by kotodomo | 2005-07-01 11:29 | 書評 | Trackback(8) | Comments(2)
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確かに話が展開しないですねぇ。宮部さんでもこういう出来の作品があるというのは驚き。それに比べると横山秀夫・東野圭吾は、大きく外れないのが凄いと思います。
Commented by 聖月 at 2005-08-28 20:53 x
紡ぐってことと、思索で埋めるということは、根本的に違うんだよ、宮部っち。そういいたくなるような作品でした・・・。
でも、ファンが多いのも事実。自分が異端児の天邪鬼かもしれんのです(^.^)


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