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「本のことども」by聖月

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2005年 07月 01日

◎◎「葉月」 沢井鯨 幻冬舎 1800円 2003/12


 居住の地を鹿児島から東京へ移し、新しい仕事へのぼんやりとした不安より、さて、読書環境をいかがしたもんかと考えていた、評者。できればある程度図書館が利用できたらと、区の案内をよく見てみると、徒歩15分の場所に区の図書館の支所を発見。よろこび勇んでカードを作って、まず借りてきたのが本書『葉月』である。

 実はこの本が出ていることも知らなかった評者。小さい支所の棚で見つけたときは、やったね、来てよかったねと、喜びのコサックダンスを館内の皆様にご披露したほどなのである。この沢井鯨という作家は『P.I.P』(プリズナーインプノンペン)でデビュー、教師を辞め、カンボジアの牢獄に閉じ込められた経験を元に小説を書き、各所で好評や酷評を頂戴した作家なのである。既評の通り、評者にはすこぶる面白かった小説であり、またポルポトが何をやったのかをわかりやすく学んだ教本でもあった。ところが酷評側の言い分は、文章が素人だとか、経験があっただけで書けた小説とか、多分感性が合わずに面白く感じなかったことに別の理由を付け足したような、そんな意見が大半であった。さもあろう。読む人にとってはさもあろう。しかしながら、評者にとってはそんなことも気にならない、一気読みの娯楽冒険小説であった。評者の感性で言うなら、読むべしの娯楽小説なのである。

 ところが2作目、既評の『D.O.D』、これはいけなかった。題名からして2匹目のドジョウ狙い。舞台をフィリピンに移しただけで、モチーフは大体一緒、カンボジアの近代史の代わりにフィリピンの近代史を背景に据え、冒険の末トンデモナイ結末のもっていきかたに、大いにがっかりした評者なのであった。

 しかして本書『葉月』の内容は、前2作と比べたときにどこに位置づけされるかと言うと、1作目を前提とした別バージョンの2作目といったところか。『D.O.D』が、『P.I.P』の主人公を別の国で冒険させるような話だったのだが、本書『葉月』は『P.I.P』を書いた作家自身を主人公にした、その後の日本での物語なのである。デビュー作で一応の評価を受けた主人公は、その後日本に戻り空港のバイトのかたわら(これは作者の本当の部分)いろんな行く手の知れない冒険の世界に巻き込まれていくというお話なのである。ハチャメチャに面白く、構成も最後にはハチャメチャに終了し、結局作者はどういう冒険譚にしたかったのか首を捻らなくもないが、とにかく途中が読ませるし、頁を繰る手が止まらない。読むべし、読むべし、べし、べし、べしの、話題にならなかったのが不思議なほどの作品である。とにかく構成はなってない。それでも評者の感性としてはすこぶる傑作。そう試金石としては高野和明『グレイブディッガー』あたりを、とにかく読ませるから面白いと感じたか、いやこんな破綻した構成の小説はダメの烙印を押したか、そこらへんの個人の感性にあるだろう。

 ふとしたことから、未成年の女の子涼子を助けた主人公。この子がすこぶる美少女なところがオジサン読者にはグー。その子と一緒になって、冒険に巻き込まれていくという設定がまたまたオジサンにはグーで、『ららら科學の子』矢作作品のときに感じたワクワク感が彷彿されるような、そんな心地よい作品に仕上がっている。構成はおかしくても、設定や展開で読ませる力があれば、それは立派な作品のパワーなのである、とオジサンは前向きに評価したい。

 いわゆる冒険物というとハラハラドキドキさせられるものだが、この主人公滅茶苦茶強いスーパー一般人であるところが、安心して楽しく読めるツボなんじゃないかな。未読の方は『P.I.P』を1作目と位置づけてそちらを先に読むべし。そいでもって感性が合わなかったら、本書『葉月』を読む必要はない。『P.I.P』を面白いと感じた人は、読むべしなのである。(20040531)

特別付録「聖月さんと遊ぼう!オフ会レポート」

昨日のことである。6月5日のことである。それなのに、もうオフ会レポートを書いちゃうという自分はすこぶる偉いし、すこぶる文責というものを意識しない無鉄砲な輩なのかもしれない(笑)。

待ち合わせは、浜松町駅南口。なんでも日の出桟橋から水上バスに乗って、浅草入りの計画らしい。全部で7人の予定。HN知り合いのオフ会。幹事になってくれたフリップ村上さんからの連絡によれば、当日『グロテスク』桐野夏生の本を持っているイケメン男が目印とのこと。南口改札に向かう。6人の集団発見。なるほど、内一人の男性が本を持っている。本を持っているのはいいが、隣の人と話をしていて、『グロテスク』の本を持っているのは俺様だぜ!という主張が全然感じられず、その本も斜めになっていて、一体全体宗教本を売りつけたいやつとの見分けがつかない。近づいていって、ちょっとあんたの持っている本見せてよ、ふ~ん、『資本主義の力学』、あんた難しい本読むんだなんて会話になるのもいただけない。そこで推理だ!浜松町駅南口、6人の男女、6月5日の午後3時40分。本を持った男が一人。でも前もっての話とは違いイケメンではない。はい、この場合、目的の集団である可能性は、、、そんなことをログやらシグマまで持ち出して、2歩歩く間に計算、結論を出した評者。ピン!!!あごに手をあて、いつものポーズで近づいて、こんにちは、本日はよろしくの出会いが始まったのである。

全部で男性3人(御三家もしくはタノキンもしくはシブ柿隊)、女性4人(ああ、何も浮かんでこない、芸能界疎い、う~ん、ゴールデンハーフ!えっ?古い?ほらエバとかマリアとかさ)で、最初に桟橋で紹介を受けたのだが、全然顔と名前が覚えられない、トホホ。いや、男性陣はわかっている。既に会った八方美人男さんに、今回初めてのフリップ村上さんの区別はつく。問題はゴールデンハーフ。なんせ外人の顔っていうのは、じゃあなくて、HN紹介なので、きなさん、yuiさん、くらさん、スウさんと言われても、中国行って、はいこの人が張さん、はいこの人が王さん、この人が陳さんみたいな感じで中々最初から関連付けるのが難しいのである。でも、水上バスの中で輪になって歓談。段々と頭に入って一安心、やれやれ、年かな自分。

で、浅草到着。浅草寺経由、花屋敷外から見学経由、お好み焼屋へ。実は評者、作務衣に草履のいでたち。いやあ、浅草という町にピッタリフィット。通りすがりの外人さんも“オウ!グレイト!ジャパニーズ書院スタイル!ビューティフォー!プリティ!”と小声で会話するのが聞こえてくる。

で、お好み焼屋なのだが、一晩考えてみると、参加者の皆様ごめんなさいという気がしてきた。あやまろう。御免なさいm(__)m。実はこのお店、古い作りのまんまの有名なお店。いざ会計のときに、連日連夜ビジネスな飲み方をしていた評者なので(前日は7000円の水炊きコース、その前は銀座のすし屋行ってそのまま銀座のクラブだったのだ)、自分が一番飲み物飲んでいるから、一人4000円だったら5000円くらい払おうと思っていたのである。そしたら、一人1800円だという。2000円出してお釣りはいらないぜ!というのもちっとも格好よくないので1800円払ったのである。ところが、よく考えたとき、評者は確か500円の生ビールを3杯飲んでいた上に、焼酎のお湯割りまで飲んでいた(はい、メンバーの中で飛びぬけて一番でした)ので、飲み物だけ考えたときにもおかしいし、料理まで食ったこと考えたら、これ絶対に割り勘勝ちなのである。はい、今度どこかで埋め合わせしましょうね。

その後は、素敵な喫茶店で座談会。いやあ、皆さん色んな意見や知識をお持ちで、やはりこういうのがオフ会なのですね。そうそう、評者はなにも本は持っていっていなかったのだが、みんな前のオフ会で借りた本を返したり、お約束の本を持ってきていたりして、評者も2冊借りさせていただきました。いやあ、こういうの、共通コミュニケーションの道具としても、経済的な観点からみてもグーかと。それに未来的な約束もありますからね、また会いましょう、そのときに返しますみたいな(ちゃんと返せよ、そのためにはまたオフ会するからなみたいな)。

ということで、もうダラダラ書くのが面倒になってきたので、この辺でオフ会レポート終り。えっ?自分のことしか書いてないって?だって、このサイト、全世界の人が読んでるサイトだもん。多分、29人くらい。だから、細かいことは書かないの。聖月さんのことだけ書けばいいのである。

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by kotodomo | 2005-07-01 12:24 | 書評 | Trackback | Comments(0)


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