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2005年 07月 01日
本を読みながら、ちょっとした粋な構成に気付くとそれだけで嬉しくなる。本書『レインレイン・ボウ』でもそんなのを見つけた評者は、それだけで嬉しくなってしまう乙女心満載のクールでダンディな中年読者なのである。 まずは、ノンブル。あのページ数表記のこと。本書では開いたときの左ページは、普通に左下隅にノンブルが打ってあるが、右ページのノンブルは真ん中下に打ってあり、そこに点線で半円の輪がかかっている。まるで虹のように。これが左右両ページともにそうなっていれば、まあひとつの工夫で終わりなのだが、右ページだけっていうのが粋でお洒落なのである。 次が、題名。本書は連作短編集なのだが、各短編の数が全部で7つ。漫画的色彩でいえば、虹は七色。だから短編の数も7つ。当たり前の工夫のようだが、こういうのに気付くのと気付かないのとじゃ感じ方が違ってくる。気付かない場合、ちょっと無粋かな、読み手として。そして、各短編の中には表題と同じものがない。よし、全部書くぞ!「サマー・オレンジ・ピール」「スカーレット・ルージュ」「ひよこ色の天使」「緑の森の夜鳴き鳥」「紫の雲路」「雨上がりの藍の色」「青い空と小鳥」どうだ?7つすべての題名に色が入って、表題が『レインレイン・ボウ』う~ん♪乙女心がくすぐられるう♪42歳単身赴任、嫁さんと二人の娘のパパ中年の評者なのである(笑) 高校時代、弱小ソフトボール部に在籍していた主人公たちも、もう今では25歳近辺のお歳。仲間だった一人の女性が亡くなり、みんながその葬儀に駆けつける。しかし、一番仲良しだったはずの子だけ、姿を見せない。なぜ?そんなところからこの連作短編は始まる。そして7人の女性の視点で物語は流れていく。 で、全体としてはまあまあなのだが、ひとつひとつの短編の読み切り度が低い、というのが評者の読後印象。まあ、俗にいう完成度なんだけど。ひとつひとつがきっちりしていて、その上全体としての完成度が高い連作短編集が多い昨今、「小説すばる」で連載していた割には、そのひとつひとつの落ちがイマイチで、独立した小説の集合体というよりは、小説の中の各章というレベルに落ちている感があるというのが、評者の勝手な印象としてのそれぞれの短編の完成度なのである。 もうひとつイマイチとなった評価の背景には評者の性別があるのかな?同じ作者の『螺旋階段のアリス』なんかは、主人公が中年オヤジでそこに可愛いアシスタントがという設定が嬉しかったのだが、本書『レインレイン・ボウ』はすべて若い女性の視点からの物語。そこらへんが評者の持っている乙女心とは微妙に食い違ったのかもしれない。本当に20歳代で、少しミステリアスでライトな小説を読みたいっていう方がターゲットなのかな。おお、私42歳なだけど、乙女心はありますよ!というそこのあなた。じゃあ、読んでみるべし。(20040804) ※結構、各所で紹介されたライトな感覚の小説である。サイト書評を見ても、評者以外の方には概ね好評の本である。 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-07-01 13:13
| 書評
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Trackback(3)
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Comments(2)
おはようございます。エントリ途中でパソコンの調子が悪くなってしまって、まだ満足度しか載せてない状態です(汗)。でもTB飛ばしちゃいます♪なんだかぜんぜん言葉が出てこないのですよー。故障は私の頭では?って感じです(笑)。そんな私、のーんびり、blogを再開いたしました。今後とも宜しくお願い致します。
追伸 『沈黙博物館』『僕たちの戦争』どちらも同じぐらいおもしろかったです。次は『薬指の標本』と『なかよし小鳩組』かなーーー
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おはようございます おお、5:19のカキコ。私も本日は5時におきました(^.^)
レイン・レイン・ボウ・・・なんか、いまひとつメリハリがなかったような気がします。手弱女な小説で。 『僕たちの戦争』いいですよね。『なかよし小鳩組』大好き好き好きです。登場人物の主人公の娘がカワユイ。小川洋子の作品はどこまでも静謐ですよね。女性版村上春樹の気がしないでもない。 はい宜しくお願いいたします。 |
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