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2005年 08月 08日
最近の桐野夏生作品の最高傑作という風評から、大いに期待して読んだが、少し評者の感じ入る世界と相違があったようである。いや、相変わらず物語を紡いでいく作者の力量には感心しきりなのだが、今回のこの作品は非常に恩田陸的であり、物語は紡がれてもそこに深みがない。あと、中年女性の一人称視点で、友人や家族や異性との距離感を描写した小説なのだけど、評者としてはオバタリアンの胸中なんてどうでもいいわけで、上手く描けているんだろうけど、どうでもいい世界の話だったのである。逆にいうと、恩田陸の『夜のピクニック』が気に入っている方だとか、私の心は手弱女(たおやめ)で、だからこんな手弱女小説凄く合うの♪なんていう方には大いに合い、そして激しく共感を呼ぶのかも知れない。評者は、手弱女小説は苦手な益荒男(ますらお)なのである。でも、力量のある作品であることは充分に伝わってきたぞ。それでも、男性益荒男読者から見た場合、たとえ共感は覚えなかったとしても、実感で面白く読めるという設定がある。主人公女性のご主人が急死するのだが、その後に自分の旦那の浮気が明らかになるという一番重要な設定である。しかしながら、評者は結婚して11年以上経つのだが、そんな経験がないので実感すら沸かないのである。今、俺が死んだら、嫁さんにこれとこれとこれがバレて・・・う~ん、よく考えてみると俺も相当ヤバイなあみたいな、そんな実感が。はっきり言っておくが、結婚10年以上経って、そういう経験がない男性というのはまずいない。少なくとも、評者は評者以外知らない。何の魅力もない、はっきり言って汚らしい油まみれ中年オヤジでさえである。女を囲っているとか愛人がいるとか、そういうレベルではなくとも、みんな間違いの経験を持っているのである。ソープランド嬢の数、不倫の数、援助交際の数、そんなのを全部足していったら間違った性交の数になるわけで、その数は国家予算の数字と同じくらいだと評者は勝手に思うので、まあ70兆である。その数の蓄積に関係のない人物は、評者は評者しか知らない。あなたはあなたのご主人に過去に間違いがあったと100%に近い確信を持ってよいだろう。なんて書くと、これを読んだ評者の友人連中がヤバイこと書くなよ!と言いそうだが、少なくとも評者は間違いのない男性は評者しか知らないというのは事実だからいたし方ない。ただ、友人連中にいちいち確認していないという片手落ちの事実もあるが。 いや、評者だってモテナイわけではない。たまに初めて行ったスナックのママが、恋の空騒ぎみたいのを感じていたりするのにも気付くわけで、“今度、休みの日、映画行かない♪”とか“店終ったら、中華食べに行こうよ♪”という話にも、いいねえなんてあわせながら、最後には“じゃあ、ちょっと目を瞑ってごらんよ。何もしないから、まあ瞑ってよ。あ!なんか疑ってるでしょう。大丈夫、何もしないから、目を瞑って”って言って、相手が目を瞑ったら、本当に何もしないでその隙に帰るだけである。勘定は置いてね。とにかく、端からそういう気がないクールでダンディな評者なのである。なぜって?だってちょっと想像力働かせれば、これって相当なリスク背負うことになるぜ、って気付くじゃないか。例えば会社の20代OLなんかが中年男性と不倫の仲になるというのは、これはもう珍しくない文化なのだが、OLも悪いが、中年男性のほうはもっとアホである。だって背負ってから気付くんだからさ。 なんの話だっけ。ああ、共感性、実感生の話だった。そう、本書は最近の桐野作品の中では珍しく、そういうものに結構負っている内容なのである。中年女性の友人たちとの距離感、自分の子供たち及びその連れ合いとの距離感、同年代の異性に対する距離感等々。実は評者は群れが好きじゃない。だからこういう群れあう距離感に馴染めないのだなあ。友人関係で悩むなら、距離置けばあみたいな。だけど、評者のようにみんなで飯食うより、一人で食ったほうが気楽でいいじゃん、って人間は、世の中では少数派なわけで、そういう意味で本書は多くの人に受け容れられる色んな要素を内包した小説だと言えるのかもしれない。(20050808) ※手弱女小説もそうだけど、葉桜恋愛小説っていうのも共感持てない評者なのである。あっ!今評者が死んだら、ヤバイ。実は最近、評者のPCにはやたら知らないメールが届くのである。“もう私にメールしたの憶えてないかしら・・・早めに連絡頂戴ね♪”とか“件名:体を持て余した人妻紹介・・・”とか、“先日ご紹介したあの娘はいかがでしたでしょうか?さて、今回ご紹介いたしますのは・・・”とか“朗報です。ご指定いただいた条件にあう女の子が見つかりました・・・”そんなのばっかり。理由もわからないのだが、少なくとも死んだ旦那のPCにこんなメールを発見したら・・・ああ、冤罪の予感(笑)(書評No548) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2005-08-08 14:16
| 書評
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Comments(5)
敏子は私の母くらいの年齢で、私も群れなどが苦手な性質なので、すごく共感できるというものではありませんでしたが、やはり私も女。わかる部分は聖月さんよりあったのかなーと思います。
あ、でも私の場合、自分が敏子の歳になったとき、いったいどうなっているんだろうかって考えながら読みましたね~。
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あら、ココさんのお母様、まだ萌える年頃なのですねえ。
私は、今日は家族で霧島&ホテルで萌えています(^.^) 少し女々しくて手弱女で、むずむずする読書でした。 あとですねえ、老年の男性が異性を意識するのが好かん! 私の歳の連中でもそういう輩は好かんのです。もう別なこと考えて生きようよ、みたいな(^.^) そういうところでは、本当に私益荒男な九州男児なのです。
確かに深みに欠ける部分はありました。「OUT」や「柔らかな頬」と比べると特に。けどれも、この本を読んでいると、私も1人の既婚者である女性として、主人公と同じ年代の母親を持つ娘として、自然と共感する部分がでてきたのですよー。
結婚して妻と呼ばれ、母と呼ばれるようになるわけですが、夫からも子供たちからも母親が「1人の女性である」というのは忘れられがちのように思います。この作品を読んで、主人公が依存的に生きるのでなく1人で歩いていこうとする姿や、女であることを取り戻す様は、とても可愛らしく素敵に思えました。 個人的なことですが、うちの母は、父と離婚してからものすごく生き生きし始め、以前より自分で人生を楽しむようになりました。自分の決断でやりたいことを決め、失敗もしているようですが、5歳は若く見えますね~。女が女であることを取り戻した例として、(正直、娘としては複雑な心境ですが)、「ああ、私も将来、妻や母親に埋没しないで、女であることを忘れたくないな」と私に思わせました。 老年の男性が異性を意識するの、「いいねぇー」と思いました。年寄りになっても、恋だけは忘れたくありませんね。
あ、トラックバックさせてくださいw
BIONさん 関係ない話かもしれませんが、先日新幹線で、なんか老サラリーマンと20代OLが一緒に乗っていて、多分老人は偉く、OLは“そうなんですか”とか相槌しっかり役。ご老人の話の端々に、少し偉さ、少しナルシストが混じっていて、若い人に向かってこんな感じで話すようには老いたくないなあ、なんて思って見てました。先に老サラが下りて、その後スーツOLは少しほっとした感じ。
そういうの見たり、こういう本読んだりで色々考えるわけなのです。 逆に私は主人公に色々思うのではなく、本書の異性を気にする老年たちに、なんだかなあと思うのでした。 今、私、中年。その近辺の人たちも異性を気にする既婚者はたくさん。いっつもなんだかなんだかと思っております。 私の愛は全て嫁さんと娘二人に使っておりますので、はい。 |
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