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「本のことども」by聖月

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2005年 10月 26日

発表!!!ブログ書評大賞by聖月

いや、昨日までは書評No471 ◎◎「無情の世界」 阿部和重かな、もしくは書評No529 ◎◎「大人の保健体育」 野口哲典かなと思っていたのである。

だがしかし、昨年の『プレイ』 山口雅也の発表の記事をあらためて見ると、その文章のお下劣さはシンクロするのだけど、こんな選考基準を書いているではないか・・・

本の評価ではなく、書評の評価。
選考基準は
1.ブログで発表された書評である。
2.2004年(今年は2005年)出版の本について書いてある。
3.書評全体のうち、本の内容に触れている部分が1/10以下である
4.本の内容より書評のほうが面白い。

冒頭の2冊は、ダラダラ書いている部分も多いが、結構、本の内容に触れているので、ちと違うのではないか・・・

ということで、夕べもう一度見直したのである。
なんだ、傑作書評を書いておるじゃないか。
ということでブログ書評大賞は・・・・これ。昨年の本だけど。本の内容より書評のほうが面白いとはいわないけど。でもこれに決定(^O^)/

書評No497 ◎「ペンギンの憂鬱」 アンドレイ・クルコフ
ということで再掲しとこう。

発表!!!ブログ書評大賞by聖月_b0037682_1720655.jpg 以前、長野県は蓼科高原に住んでいた評者の住まいは、所謂リゾート風集合住宅であり、1階に住む評者はワインのヌーボーの解禁時期に、どういういきさつか忘れたが、4階に住む女性と一緒に評者の部屋でそのヌーボーを中心に据えたささやかな二人だけのパーティーを行うことを約束するはめになってしまった。夕刻に評者の部屋の扉の前に現れたその女性は、いかにも高原のお嬢さんという清楚な雰囲気で、評者も約束するはめになってしまったとか言いながらも満更悪い気もしなかったのであるが、彼女が携えた小粋な食料の袋とは反対側の手に持っていたバスケットがどうも気になった。部屋の中に招き入れたあと、その彼女のバスケットから物音がする。ウサギのウーよ♪という。籠の中じゃ狭いから出してもいいかしら♪という。ワインを楽しみ食事を楽しむ二人と一緒に、そのウサギのウーは勝手にピョンピョン楽しんでいる。結局そのまま評者の部屋に泊まった彼女だったのだが・・・ウサギのウーがうるさかった。一晩中ゴソゴソ、ガサガサ。ウサギって夜行性?そう思いながら、やっと寝付いた評者なのだったが、朝起きてみると迷惑なことにウーは死んじまっている。彼女は大泣きし、自分の部屋に帰るとだけ言い残し、部屋を出ていったのはいいが、ウーの死骸は部屋の中に残されたまま。出て行く彼女に、そのことを後ろから伝えても、死んだウサギはいらないと言ってそのまま行ってしまう。

 仕方がないので、30分かけて車で山を降り、なんとなく気付いていたお店までウーを持って出かけ、1万5千円払って剥製にしてくれるよう頼み、出来上がったら電話します、3~4日くらいかかりますけどということで、電話を待つがかかってこない。いい加減催促してもいいだろうと思って、7日経ったときに自分の部屋の受話器をあげると電話自体が死んでいる。原因を探ると、なるほど室内の電話線が妙な感じに切れている・・・齧られている。ああ、ウーはこれ齧って食って死んだのかと思い、またしても車で山を降り、剥製屋さんに連絡がつかなかったことを詫び、立派になったウーの剥製を受け取り、千円で電話線も買って、彼女の部屋を訪問するが不在のようで、ウーの剥製の入った箱とメモを彼女の部屋の前に置いたが、一週間もしないうちに彼女も部屋の前の箱も、何の連絡もなくいなくなる。

 それから5年後、東京に住むようになっていた評者の荒川の住居の前に、仕事から帰ってくると、幼い女の子が立っており、蕎麦屋の岡持ちみたいなものがその横に置かれている。女の子が、メモを評者に渡す。名前は書いていないが、それは以前ウーの剥製と一緒に突然消えた女性に渡した評者直筆のメモであり、空いたスペースに、あなたの子です、よろしくお願いしますと書いてある。女の子はニンマリして、あたしの名はアーニャ、そしてこっちはミーシャ、よろしくね♪と言って、岡持ちのふたをあける。ミーシャと呼ばれたそれは、でっかい皇帝ペンギン。こっちのほうは、どう考えても自分の子じゃないだろう。そして3人の家族ごっこが始まる。女の子アーニャは蓼科ヌーボーナイトから勘定が合うように4歳なのだが、結構しっかりしている。評者が相手にしなくても、大抵の場合ペンギンのミーシャに絵本を読んで聞かせているか、一緒に風呂場で水浴びして遊んでいるか、一番多いのは一緒になってテレビを眺めている。たまにペンギンのミーシャがギャッ!と鳴くときは、必ず画面に猫が登場しており、女の子アーニャは大丈夫だよと、ミーシャに優しく声をかける。

 3ヶ月も家族ごっこが続くと、お互いなれてきて、どっか出かけようかという話になり、冬の蓼科湖へドライブ。氷の上は、ワカサギ釣りの穴だらけで、ペンギンのミーシャははしゃぐように、あっちの穴からこっちの穴へ冒険を続け、女の子アーニャは氷や雪が珍しそうで、こんなところで育ったのじゃないの?と訊くと、多分名古屋というところで育ったんだと思うと答える。

 そんなこんなの楽しい出来事を自慢のブログ日記に評者が何気なく書いたところから、なんだか話がおかしくなってくる。蓼科漁業協同組合という組織から、漁業権の問題ということで内容証明郵便物が届き、自分が不在のときに不審な人物がきたけど出なかったよ、エライでしょ♪とアーニャは言うし、音楽会社やデジカメメーカーから、著作権や商標登録の侵害云々の話が舞い込む。そして、評者は・・・。

 いかがかな。以上は評者のフィクションであり、実在する人物、団体・・・という言い訳は別にして、本書のような読んでみてくれとしか言いようのない作品の書評に代えて、少し変奏曲、大いに別ジャンルの作り話で紹介してみたのだよ。

 著者はウクライナのロシア語作家。本書の前半は、ウクライナのいしいしんじが書いたようなそんな雰囲気。中盤では表の世界から裏の世界が投射され、終わってみれば少し形而上。あとがきを読むと、著者はロシア語翻訳された◎◎『羊をめぐる冒険』村上春樹がお気に入りとのことで、う~ん、この作風、そういえばそんな雰囲気も(^.^)(20050319)

※本書の中に登場するペンギンは身長1メートルとでかい。表紙絵のように少女とペンギンの大きさは大体一緒なのである。だからなんだと言うわけじゃないが、表紙絵のペンギンは少女に比べでか過ぎないかという疑問に備え(書評No497)

by kotodomo | 2005-10-26 07:37 | 聖月(みづき)様のことども | Trackback | Comments(2)
Commented by bamse at 2005-10-26 20:39 x
「今日はもう読書いいや」ってくらいの満足感♪
続編希望!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
Commented by 聖月 at 2005-10-27 06:23 x
いやあ、書けたら書きますけど・・・
いっつも条件反射で文章綴っているので・・・このときも、多分書き始めるまでは、こんな文章綴る予定じゃなかったんじゃないかな?
がむばります。

今日から読書週間です。


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