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「本のことども」by聖月

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2006年 01月 16日

▲「G.I.B 聖なる死神の伝説」 沢井鯨 徳間書店 860円 2005/12


 まずは『葉月』の我が書評からの引用。

“沢井鯨という作家は『P.I.P』(プリズナーインプノンペン)でデビュー、教師を辞め、カンボジアの牢獄に閉じ込められた経験を元に小説を書き、各所で好評や酷評を頂戴した作家なのである。既評の通り、評者にはすこぶる面白かった小説であり、またポルポトが何をやったのかをわかりやすく学んだ教本でもあった。ところが酷評側の言い分は、文章が素人だとか、経験があっただけで書けた小説とか、多分感性が合わずに面白く感じなかったことに別の理由を付け足したような、そんな意見が大半であった。さもあろう。読む人にとってはさもあろう。しかしながら、評者にとってはそんなことも気にならない、一気読みの娯楽冒険小説であった。評者の感性で言うなら、読むべしの娯楽小説なのである。

 ところが2作目、既評の『D.O.D』、これはいけなかった。題名からして2匹目のドジョウ狙い。舞台をフィリピンに移しただけで、モチーフは大体一緒、カンボジアの近代史の代わりにフィリピンの近代史を背景に据え、冒険の末トンデモナイ結末のもっていきかたに、大いにがっかりした評者なのであった。

 しかして本書『葉月』の内容は、前2作と比べたときにどこに位置づけされるかと言うと、1作目を前提とした別バージョンの2作目といったところか。『D.O.D』が、『P.I.P』の主人公を別の国で冒険させるような話だったのだが、本書『葉月』は『P.I.P』を書いた作家自身を主人公にした、その後の日本での物語なのである。”

 ということで、本書『G.I.B』(ガイ・イン・ブラックだから、黒衣の聖月様的素敵主人公ってな感じかな)を借りたのはいいが、またまた読み始める前に、中身を全然知らなかった評者。『P.I.P』ではカンボジア、『D.O.D』ではフィリピンという、近くて遠い国の歴史を紐解いてくれた著者は、今回はタイあたりの歴史を題材にしてくれるのかと思いきや・・・全然違った。題名こそ、アルファベット3文字だが、『葉月』を含めても全然違う路線の作品である。漫画を小説で書いたような、思いつきで小説を埋めているような、なんでもありでハチャメチャで、アキバ君が喜びそうな、ドラゴンボール的でもあり、萌え?みたいな部分もあり・・・う~ん、43歳老眼が“これって最高(^O^)/”っていう本では決してない。しかし、どこか面白く感じる自分もいるんだよなあ。

 主役の二人は、100メートルを6秒とか4秒とかで走っちゃう超人だし、気を溜め込むと手からカメハメ波みたいのが出て相手を倒しちゃうし、敵方には怪物人間みたいのが出てきて、いかにそいつを倒すかみたいのは天下一武道会に強敵現るみたいな感じだし、なんの前触れもなく萌えるような女性がベッドの中に入ってきて、口を使ってくれてたまらんし、終わり方は“つづく”だし、2月には第2弾が出るらしいし。

 とにかく、今回の沢井鯨作品は、評者のような年代をターゲットにしていないのは確か。アキバ系の高校生が、本書を読んで冒険したり発散したり、なんかそういうゲーム的な乗りである。問題は、2月の第2弾で沢井鯨に相変わらずお付き合いするか、また違う路線の作品が出るのを待つか、そこらへんが評者的には困りものである。実につまらない本なんだけど、どこか気になるし、変なとこが面白いし。(20060115)

※そのぐらい、表紙みたときに気付けってか(笑)(書評No617)

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by kotodomo | 2006-01-16 16:57 | 書評 | Trackback | Comments(0)


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