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「本のことども」by聖月

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2004年 10月 10日

△「だりや荘」 井上荒野 文藝春秋 1500円 2004/7


 この2004年の夏は、とにかく台風の上陸が多かった。家族や友人たちの住む鹿児島や、その他九州の情報もこれまで入ってきており、それによるとオール電化にしなくてよかったというのが、ひとつの結論のようである。評者も4年前鹿児島で家を新築し、友人たちもそれぞれに家を構えていたりするのだが、その家を持つときに必ず出てくるのが、オール電化にするや否やの話である。評者は単純に炎の出ない調理というのがピンと来なかったので、端から相手にしなかったのだが、そういう問題じゃなく、九州で停電のことを考えると、オール電化にすることは生活基盤の脆弱性に繋がるのである。昔と違って停電は少なくなったが、それでも今回鹿児島でも、5分の停電とか、10分の停電とかが、断続的に発生したということである。そうなると、調理場の無力化という結果になってしまい、どうもよくないようなのである。結果としては、オール電化にしなくてよかったということになるのである。

 そういうことを、東京の空の下、遠くの他人事のように感じていた評者だったのだが、、、台風22号東京上陸である。土曜日ながら、午前中仕事をし、午後早めに家へ戻った評者。食べ物も買い込んだし、あとは本を読むぞとベッドの上。夕方4時ごろから風雨が強まって、評者の頭に、ふとある考えが浮かぶ。“東京の電力会社って、台風対策とか、鹿児島ほど慣れていないかも。もしこのまま停電にでもなったら、しばらく復旧しないかも。じゃあ、本も読めないじゃん。何すりゃいいんだ、自分。ラジオもないぞ、一人暮らし。ええと、停電になっても使えるものって、充電機能の付属している携帯とPCだけじゃん。おお、淋しい。どうか停電になりませんように(祈)”幸いにも停電にはならずに済んだのだが。。。。

 夕方6時ごろ、ベッドの上で読書中の評者の耳に変な音が聞こえてきた。まるで、暴風雨の中、手荒い泥棒がドアを金具でこじ開けようとするような不気味な音。ベッドの部屋から出て、入口キッチンの部屋に行ってみる評者。怖いよう。ん?音はドアではない。流し台のシンクからかな?ギョエーン!!ちびりそうにビックリ吃驚\(◎o◎)/!

 シンクの排水溝。あの丸い穴。そこのゴムの蓋が吹っ飛んで、中に入れてある筒状の異物流出防止(っていうのかどうか知らんが)のとこが、ニョッキニョッキと出入りしている。ギョエーン!!まるで、エイリアンのミニチュアが下から押し上げて、進入しようとしているような場面。恐る恐る近づいて確認してみると、どうやら原因は下水からの空気の押し上げのようである。変な不気味な音は、配管が軋むような音だったらしい。下水の汚水までは逆流してきそうにないが、このエイリアンモドキと臭い下水の空気の逆流はいただけない。いただけないが、まあ我慢して見過ごすとして、それよりちびりそうになったものを放出じゃあ(^O^)/でトイレへ。放尿(^.^)フー。

 ギャビーン!!流そうとしたら、流れていかずに水位が上がってきたぞ!!溢れるのか?フー。なんとか溢れずに済んだ。済んだのはいいが、これじゃあ放尿じゃないほうをしたくなったら流せないじゃん。ギャビーン!!

 でも、気を取り直し、今度はテレビで台風ニュースを観る評者。夕方6時過ぎにもう夕食。だって、停電になったら暗い中食うのいやだもんね。おお、各地でミニ被害続出、テレビ画面。おお、渋谷、冠水して、みんな足まで浸かっておるねえ。ん?もしや?評者の部屋は1階。とりあえず、ドアを開け、前の通りを見てみると・・・ギャビーン!!なんと、50センチ冠水!!どうりで、エイリアンモドキ現象やトイレトラブルが起こるわけだ。でも、雨足ももう弱まって、建物の最下部分まではまだ余裕(^.^)意外に道路と建物の段差ってあるのね、なんて思って部屋に引っ込んでいる間に、雨もおさまってきて、エイリアンモドキも静かになって、トイレの水も元に戻った、そんな台風体験でした。あれ?まだ、『だりや荘』と関連付けないじゃん。ベッドで読んでた本は『だりや荘』なんだけどね。それじゃあ・・・

 台風体験といえば、以前長野に住んでいた評者。そこでも台風体験がある。珍しく長野に台風ということもあって、りんご農家とかが備えに大変そうだなあなんて、そんな風に思っていた評者。実は、このとき評者は高原のリゾート地に住んでおり、後ろの池には評者が管理しなければならない、手漕ぎボートが5艘係留されていたことを失念していたのである。翌朝、起きてみると、そのボートどもは池のあっちやこっちで、ひっくり返って浮かんでいた。その後の作業の難儀したこと。

 というように、評者は、長野に5年間住んでいた時期があり、娯楽といえば色んなペンションの泊まり歩きとかもしていたのである。だから、本書『だりや荘』に出てくるペンションを中心とした風景というのは、非常に懐かしい、実感のある風景でもある。さて『だりや荘』の話に繋がったぞ。

 信州で『だりや荘』を営む若夫婦、迅人と杏。隣の建物には、杏の姉、椿が住む。他の登場人物は、途中からペンションを手伝うことになった若者と、姉の見合いの相手。ここに描かれているのは、その男女の心と体の関係なのだが・・・評者にはこの小説の良さが、全然わかりませんでした。複数の相手と関係を持つこととか、そのときの感情とか、そういうものが題材のひとつになる分には構わないのだが、それだけ書かれてもなあ、という感じ。設定だけ読まされて、物語を読ましてもらえなかったような、そんな感じかな。

 はっきり言わせてもらえば、道徳的な評者裁判官から見ると、被告人迅人も死刑、杏も死刑、椿も死刑、見合い相手も死刑、手伝いの若者は無罪放免ってな具合に、優しい心の持ち主である登場人物たちだったのだが、やっていることの罪が深すぎて、結局理解できないのである。

 ところが、本書『だりや荘』は、多くのメディアで取り上げられていて、その評判も概していいようなので、本書の評価は評者の個人的感性が強く滲み出たものであることも、付記しておこう。(20041009)

※薄めの小説だったのだが、先を読む興味が薄れ、読了に5日間かかってしまいました。じゃあ、その間何してたのって?晩酌に逃避しておりました(^^ゞ(書評No413)

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by kotodomo | 2004-10-10 15:32 | 書評 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 日々のちょろいも at 2004-10-11 01:43
タイトル : 『ホット・プラスティック』&『だりや荘』読了。
 昨夜もむちゃくちゃ重かったライブドア。とうとう日記の更新は諦めた…。いったい全体どうなっちゃってるの?? ホントに移転を考える人たちの気持ちがよくわかる今日この頃。…まあ、かといって今はどこのブログも過渡期だしなあ…。  というわけで、ピーター・クレ... more


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