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2007年 02月 16日
評者の今のところの勤め先、清泉クリニック整形外科内にリアル「本のことども」コーナーがある。元々の目的は来院者のリラックスのためなのだが、最近は職員の利用者も多い。特にレントゲン技師の新婚ホヤホヤ男なんどは、仕入れた本の全てに目を通し、最近では“早よ、次の本を仕入れや!”とホザク始末である。仕方がないので、ホヤホヤ男が苦手だと言っている翻訳本を仕入れて少し意地悪。マキャモンの『少年時代』やウィンズロウの『ストリート・キッズ』にランズデールの『ダークライン』が最新の仕入れ・・・果たして反応や如何に? 結局、現場の人間は待機時間が多いのである。X線を撮る必要のない患者が多い日には、彼らは暇を持て余す。このホヤホヤ男という御仁、これまでは特に何するわけでもなかったらしいが、最近では読書に目覚め、図書館にまで通い始める始末である。本好きの聖月様にとっては、そういうのは嬉しい始末である。 看護師も読むようになった。伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』なんか読んでいたときは、突然に“案山子が死んじゃったよう!”なんて叫びだし、“ねえねえ犯人は誰?案山子を殺した犯人は誰?いや、教えちゃ!”なんてわけわからんことを言っていた。大崎善生の『アジアンタム・ブルー』のときは、ボンロボンロ泣いていたし、とにかく今まで本なんか読んだことがほとんどなかったらしく、反応が純粋で面白い。本好きの聖月様にとっては、そういうのは嬉しい反応である。 理学療法士も読むようになった。最近、文庫本の阿部和重『シンセミア』4分冊を仕入れたら舌なめずり・・・長いのが好きなのである。っていうか、読んでた本が終わっちゃうと淋しがるのである。そして、“次は何を読んだらいいのでしょうか?”とすぐ聖月様のところに伺いに来るのである。本好きの聖月様にとっては、そういうのは嬉しい相談である。 とにかく、自分の影響で人が本を読むのは嬉しい限りなのである。そうこうしていたら、ホヤホヤ男が生まれて初めて単行本を新刊で買うという快挙に出た。それが本書『フィッシュストーリー』なのである。やっと鶴の恩返し?与えた恩を返してもらえたのである。 「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」と4つの短編が収められた作品集。順番に評価記号は◎、▲、▲、◎といったところかな。で、総合的な評価が〇。 ◎のついた二つの作品には、会話の妙がある。評者も普段から馬鹿なことを言うが(例えば、クリニックの受付の女性陣が言うことを聞かないときは、そんなこと言うんだったら、俺、明日コンビニ強盗しちゃうからな!なんて、意味もわからない呆れる会話で煙に巻く)、この二つの作品の登場人物たちも、そんな呆れた会話が好きな愉快な仲間である。「ポテチ」では、あの黒澤も渋いし。 伊坂初の連作でない短編集。どう評価するかは読み人まかせ。果たして1470円で買ったホヤホヤ男の反応や如何に?ただで読めた聖月様にはまあまあだったけど、◎の作品の中の伊坂流伊坂節は・・・やはり好き♪読まなきゃ損。(20070215) ※「本のことども」コーナーの本たちは、図書館のようにパウチコートさせている。最近は、私物の本もパウチが大はやり。ホヤホヤ君が貸してくれた本書も、パウチ済みであったのことども。(書評No696) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2007-02-16 15:59
| 書評
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