2007年 04月 11日
おお!この樋口有介はいいぞ!これまで読んできた小説も、すべて樋口流樋口節的な軽妙な筆致で素晴らしいものが多かったが、本書には今まで評者がこの作家に望んでいたものが欠けていて尚よかった・・・そう、欠けていてよかったのである。 評者がこの作家に望んでいたもの・・・それは、ミステリーじゃない小説である。文体や展開は素晴らしいのに、ミステリー的に読むとどこか安直。だから、ミステリーじゃない小説を書けばいいのに、そういう風に思っていたら、この小説にはミステリー性が欠けていて・・・そいでもって、凄くよかったのである。 じゃあ、どういうジャンルかといえば、青春軽妙ハードボイルド恋愛小説ってところか。略して(ないが)樋口節全開恋愛小説なのである。う~ん、いい。実にいい。ああ、青春に戻りたい。青春に戻って、目の前に美少女が現れて、自分はハードボイルドに減らず口たたいて、そいでもってその娘に好かれたいもんだ。 しかし、仮に青春に戻ったとしても、評者の親父は主人公の親父と違って相変わらず生きていたろうし、母親は減らず口に理解は示さないだろうし、目の前に美少女が現れても多分それは今の嫁さんだろうから、まっ、今と何も変わらずか、まっ、いいか。 とにかく、多くは語りたくない良作。『彼女はたぶん魔法を使う』も大好きだったが、もう一度読み返すなら、本作のほうかもしれない。それだけ、樋口流の軽妙なハードボイルドが注入された一冊。樋口好きの本作未読の方は、読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!樋口なんて知らない方は・・・やはり、読むべし、買うべし、借りるべし!!!(20070408) ※評者が読んだのは、単行本の図書館本。ネット上では、文庫も新刊は手に入らない状況のよう。ネット、もしくは古書店でユーズドゲットが近道なのかな?(書評No709) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2007-04-11 11:53
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