2007年 04月 24日
前作『シリウスの道』の書評を書いた際、評者はこう結んでいる・・・あのイオリンが、病魔と闘っているのなら、復活を大いに期待している。応援している。手記ではなく小説が読みたい・・・ 癌と闘っているイオリン。悪い方向に考えたくはなくても、もう小説では出会えないかと思っていた。正直言って本書『ダナエ』は過去に書いた短編を三作載せた作品集なのだが、それでも小説で出会えて嬉しかった評者である。評者の場合、大好きな藤原イオリンの作品が雑誌に掲載されていることを知ったとしても、基本的に雑誌小説は読まないことにしているので三作品とも初読で、今年の藤原イオリンとしてわざと錯覚しながらも読めるのである。しかし、作品のレベルは、あの傑作短編集『雪が降る』と比べると全体に低調であるのだが。 まあいい。藤原イオリンが読めればそれでいい。ああ、もっとイオリンが読みたい。(20070422) ※あっと言う間に読み終わる大文字活字の作品集でした。(書評No712) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2007-04-24 10:10
| 書評
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from 図書館で本を借りよう!〜..
at 2007-05-05 05:51
タイトル : 「ダナエ」藤原伊織
「ダナエ」藤原伊織(2007)☆☆☆★★ ※[913]、国内、現代、小説、ミステリー、短編集、絵画 ※すこしネタバレあり。とくにミステリーである「ダナエ」のネタに触れるので未読者は注意願います。 ページをめくった瞬間、あっと思った。活字が大きいのだ。薄手の本、大きい活字。何か性質の悪い冗談かと思った。そういう形態の書物があることはよく知っている。しかし藤原伊織の作品に似合わない。そういう本なのか、失望しながら読み始めたのだが、それは杞憂であった。予想に反して作品としてはまずまずのも...... more
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from たこの感想文
at 2007-05-10 10:43
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from AOCHAN-Blog
at 2007-05-13 22:32
タイトル : 「ダナエ」藤原伊織
タイトル:ダナエ 著者 :藤原伊織 出版社 :文藝春秋 読書期間:2007/04/04 - 2007/04/05 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ] 個展に出品された肖像画に何者かがナイフを突き立て、硫酸をかけた。その事実を知った画家が取った行動とは?広告界と美術界を舞台に、男たちと女たちの痛切な悲哀を描いた全3編を収録した、心揺さぶられる作品集。 表題作「ダナエ」のほか、二編を収録した短編集。「ダナエ」は100ページほどだから、中編といったほ...... more
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from kiku's
at 2007-06-04 12:19
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from デコ親父はいつも減量中
at 2008-10-13 21:30
タイトル : ダナエ<藤原伊織>−(本:2008年136冊目)−
ダナエ # 出版社: 文藝春秋 (2007/01) # ISBN-10: 4163255907 評価:82点 中篇が3篇。 最初の「ダナエ」は起承転結をきちんとまとめて小説の様相を保っているが、その次の「まぼろしの虹」は、長編小説の一部を切り取ったような感じもあってまとまりのある終わり....... more
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from 日曜感想文
at 2008-10-26 15:22
タイトル : ダナエ / 藤原伊織
表題の作を含む3編が収録された短編集。代表作の「テロリストのパラソル」をはじめ、数々の作品を読んできた作者です。でも「蚊トンボ白鬚の冒険」が個人的に大変残念な出来で、...... more |
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