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「本のことども」by聖月

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2004年 10月 24日

◎◎「退屈姫君 海を渡る」 米村圭伍 新潮文庫 500円 2004/10

◎◎「退屈姫君 海を渡る」 米村圭伍 新潮文庫 500円 2004/10_b0037682_146764.jpg 風見藩シリーズが文庫で出版と聞いて、今までのシリーズとは別格なのかなと思ったら、察するに先の3冊『風流冷飯伝』『退屈姫君伝』『面影小町伝』が既に文庫化されていたので、以後のこのシリーズは文庫でという新潮文庫の英断のようである。シリーズ未読の方は、是非この4冊を買いに走るべし。

 『風流冷飯伝』では、小藩風見藩の二男坊たちの屈託ない活躍を風情豊かに描き、おまけにちょっとしたミステリー要素で読書を喜ばせ、『退屈姫君伝』では前作よりミステリー度を高めながら、かわいいめだか姫に謎解きをさせ、『面影小町伝』ではめだか姫のよき手助けとなった忍び見習い途上中のお仙を活躍させてきたこのシリーズ。もう少し流れをわかりやすく言うと、風見藩の藩主は時羽直重。その藩の二男坊たちは、基本的に家督を継げず、日がな一日を自分が決めた日課で過ごす。その藩主時羽直重の正室(お嫁さん)が17歳のめだか姫。藩主の代わりに風見藩江戸上屋敷を守る。その姫が本書『退屈姫君 海を渡る』で、海を渡ってどこぞに行くのかというと、旦那様の治める地、まだ見ぬ四国風見藩なのである。お仙の報告によれば、お国では藩主時羽直重、すなわち旦那様が行方不明とか。特に心配するでもなく、屈託のないかわいいめだか姫は、退屈しのぎに風見藩に向かうのである。これが深刻に考える姫が主人公であれば、大いに心配するのもそうなのだが、ご公儀の目(参勤交代制度的にいうと、姫が江戸にいるということは、これ幕府の人質なのである)を心配して、結局探索の旅に出れるわけないので、登場人物の描き方としては、これでいいのである(笑)。で、あとの話の流れは、あなたが自分で読むべし、読むべし、べし、べし、べし。

 今回の物語で顕著なのは、作者が講釈師調的に話を進めるところである。はてさて、この後姫たちはどうなりますやら、みたいな。その講釈の各章ごとの題名を並べれば、読んだことのない人も、既に粗筋紹介を放棄した意地悪な評者に頼らずに、雰囲気がわかるだろう。

 ふたたびはじまる
第一回 江戸前の海にざんぶとお庭番
第二回 釣独楽(つりごま)にころり転んだ餓鬼大将
第三回 羽衣の天女は堕ちて月見草
第四回 殿が消え冷飯(ひやめし)も失せ木乃伊(みいら)取り
第五回 締められて蛤に泣く将棋指し
第六回 顕れて憤怒の剣に花は散り
第七回 恐るべし青き邪光に帯を解き
第八回 姫は燃えのんきな殿は湯浴(ゆあ)みして
第九回 風前の塵と消えたり猛き者
 これでおしまい?

 どうだろう。風情豊かに講釈師が語る姫の冒険の雰囲気が伝わったかな?そして、最後に注目。「これでおしまい?」に「?」がついているが・・・どうやら、めだか姫の冒険は、今後もシリーズとして続きそうである。嬉しいね(^.^)なに!嬉しくない?嬉しがるべし。そして読むべし。(20041024)

※文庫で500円お買い得。評者も新刊で購入。(書評No423)

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by kotodomo | 2004-10-24 14:11 | 書評 | Trackback(3) | Comments(0)


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