2007年 12月 27日
本書『誰にも見えない』を少女作家が書いたのだとしたら、評者はこういうだろう。あの綿矢りさ姫の『インストール』を凌ぐ感性の作品だと。 ところが、驚くのは、こういう思春期の女の子の瑞々しい感性を、オヤジが描いているということである。著者藤谷治は1960年生まれだから、評者より2歳上、47歳。描けないよ、普通!である。普通って何?何が普通なの?普通描けないかもしれないってことは、描ける人はいるんじゃないの?って反論されそうだが、描ける人がいる、いたってことが、信じられないくらいの“感性の描写力”なのである。 体裁は、中学2年の女の子が綴ったダラダラ文章。小学校時代の思い出やら、お受験のお話やら、女子校に入学してからの出来事やら、在り来たりの風景をただダラダラ綴っただけのものなのだが・・・。 今度の年末年始の帰省時に、今現在、中一の上の娘に読ませてやろう、持って帰ろうと思ったのが、読後の一番の感想。何に悩んでいるか知らないが、悩みがあろうがなかろうが、本書の主人公に共感するのではないかな。それに、評者が標榜している生き方も、本書の中に書いてあるし。人は、誰かを○○○ために、生まれてきたってことがさ。 とにかく、この思春期の感性を、オヤジが描いた感性を、読むべし、読むべし、べし、べし、べし!!!図書館に走れ!!!藤谷治は知名度低いから、多分棚にあるぞ(笑)。(20071224) ※実は、藤谷治は知名度が低過ぎて、評者の住む町の図書館には置いてない(笑)。ネットでユーズド本を買ったわけだけど、いいねえ藤谷治。手許にはあと『いなかのせんきょ』が・・・楽しみなので、後に回そう。次は・・・そう、バカボン『夕陽はかえる』霞流一で行きまっしょ。(書評No763) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2007-12-27 13:16
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