2008年 01月 14日
題名に偽りあり!!!全然、柳生大戦争じゃないぞ!!!(笑)そりゃあ、柳生同士が戦う場面はあるけどさあ。それと、いつもの荒山徹作品と比べて評価が低くなったわけは、冒険がなかったからである。 高校のときの夏休みの宿題に『敦煌』井上靖の読書感想文というのがあって、結局主人公の趙行徳という人物が全然主人公ではなく、じゃあ誰が主人公と言えば、読後、「敦煌」という町が主人公というのが心の中の正解であって、だから趙行徳の道行きも面白くなく、全体が面白くなく、でも面白くなかったとは感想文の中には書けない優等生の評者であって、奥深さとか行間とかそういうところを誉めて、提出したような気がする。 本書『柳生大戦争』も柳生十兵衛他、柳生の一族を中心に登場人物たちが役割を持っているのだが、じゃあ誰が主人公かというと、真の主人公は、朝鮮半島というしかない。群雄割拠の、時の朝鮮半島の歴史や衝突を、著者荒山徹は描きたかったわけで、柳生一族たちの役割は、つまるところその目撃者でしかなく、だから冒険もなく面白く感じなかったわけである。 冒険不在、妖術満載されない荒山節の物語→朝鮮半島の歴史小説、なんて構図の物語なので、結局南極放送局、史実物に興味のない評者には面白味が感じられなかったのである。 少しだけ面白い部分もあって・・・終盤になって、やっと妖術師が出てくるのだが、何を今更の感を持ちながら読み進めると・・・なるほどそういうことか。前の作品にも出てきた“処刑御使”の役割を持つ人物で、なるほどなるほど、そういうオチに持ってきたわけね、って感じで、そこんとこは面白く感じた評者なのだが、どうせなら、全編こんな感じでいってほしかったものだと思う今日この頃は、鍋が美味しくてたまらないのことども。(20080110) ※夕べは韓国風スープ鍋を食ったことどもなので、なんで鍋と思ったかも知れんが、一応朝鮮繋がりということでお許しくだされ。(書評No766) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-01-14 11:25
| 書評
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