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「本のことども」by聖月

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2008年 05月 12日

〇「オロロ畑でつかまえて」 荻原浩 集英社文庫 480円 1998/1


 評者が荻原浩に入ったのは、7年くらい前、『なかよし小鳩組』からである。著者の4冊目の作品、『噂』が気になっていた時期で、図書館に行ったら新作の『噂』は当然に置いてなく、とりあえず棚に並んでいた『なかよし小鳩組』と『ハードボイルド・エッグ』を借りてきた経緯にある。そして・・・『なかよし小鳩組』がメチャンコ面白かったのである。中でも、主人公の7歳になる娘、早苗がカワユク溌剌としていて・・・で、読み終えて気付いたのだが、『なかよし小鳩組』は著者のシリーズ2作目で、1作目が本書『オロロ畑でつかまえて』とのこと。で、意味もなく7年間もほったらかしにしていて、今回ようやく手にとることとなった。意味も理由もまったくない。久々に、図書館の棚で目にして、気が向いたというだけである。しかし・・・

 しかし、最近のネット書評っていうのは、どうしてこうも昔の作品が取り上げられないのだろう。例えば、荻原浩のブレイクスルー作品『明日の記憶』を面白く読んだネット書評家は、その後の作品は取り上げても、前に遡って読もうとしていないようである。新作を取り上げたいのかもしれないが、遡ってみると『なかよし小鳩組』なんて名作に出会ってニンマリすると思うのだが。ああ、勿体無い。

 で、本書『オロロ畑でつかまえて』なのだが、『なかよし小鳩組』ほどの面白さはなかったというのが結論。しかし、そこそこにユーモアがあって楽しく読め、デビュー作としては充分に合格点であり、やはりこの作家の原点はユーモア小説なんだろうなあというのが、評者の結論である。

 残念なのは、カワユイ溌剌少女、早苗の不在。2作目から先に読んで、1作目の不在を減点材料にすることもないとは思うが(笑)、やはり彼女には登場してもらいたかったなあ。別れた妻と、妻が預かる早苗の話題は少し出てくる程度。要は、デビュー作『オロロ畑でつかまえて』も、2作目『なかよし小鳩組』も、どちらも広告代理店に勤める主人公杉山の面白奮戦記シリーズということである。『なかよし小鳩組』では、小鳩組という組織の仕事を請け負ったのはいいが、その組織がやくざ屋さんだったという設定で面白おかしく物語が進んだが、本書では片田舎の村興しを請け負うところがミソ。取り立てて売り物のないド田舎で、どうやって村興し?みたいなことが、ユーモアたっぷりに展開していくのである。

 読んで損はないユーモア小説。昔の荻原作品を読んだことがないという方は、是非是非、本書『オロロ畑でつかまえて』と名作『なかよし小鳩組』を文庫で揃えて読むべし。荻原浩の原点がわかるぞ。(20080503)

※結局、この作家の初期を過ぎた頃の作品を、結構読み落としている評者。『母恋旅烏』に『コールドゲーム』に『神様からひと言』なんてやつをね。(書評No794)

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by kotodomo | 2008-05-12 20:54 | 書評 | Trackback(1) | Comments(2)
Commented by sakura-kanade at 2008-05-14 18:30
はじめまして!
sakura-kanadeと申します。「オロロ畑~」でたどりつきました。
今度はぜひ「なかよし小鳩組」を読んでみなくちゃ!
しかし、すごい読書量ですねー。
私もけっこう読むほうだと思っているのですが、
全然負けてます(笑)
また遊びにきますね。
Commented by 聖月 at 2008-05-15 08:40
sakura-kanadeさん こんにちは(^.^)
また、初めまして。
『なかよし小鳩組』一作目より、コミカルでカワユクて面白いですよ。

いや、読書量のほうは、最近トント落ちています。
ただ、7年以上積み上げてきましたので、その分量はたまってきてはいますね。
本当なら、そろそろ1000冊くらいの時期なのですが、この2,3年、ちょっとペースが落ちています。

まあ、ゆっくりと目指しましょうかね。

是非、また遊びにきてください。


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