2008年 07月 29日
久々の青春物、溌剌読書(^.^)いつ以来だろう?最近で思い出せるのは三羽省吾『厭世フレーバー』くらい・・・ということで、過去の記録を調べてみると、2005/9/3に読了しているので、3年ぶりくらいということになる。本当に久々だなあ。まあ、その間、伊集院静の『海峡』や、佐藤正午の『童貞物語』なんかの青春物は読んではいるのだが、ここまで突き抜けた屈託のない青春物は、本当に久々の感じなのである。 でも、なんで評者は読んだのだろう?自分でもよくわからないのである。県立図書館で発見。借りる冊数には余裕あり。瀬尾まいこは『幸福な食卓』と『図書館の神様』を既読だが、どちらも程ほどの印象。奥付を見ると、割と最近の本。そういえば、この題名、地元紙の日曜読書欄に書評が載っていたなあの記憶。まっ、いいか、借りるだけ借りてみよう、そんな感じで借りてきたのである。で、書斎の棚に放っといて・・・返すまで余裕のあるときに、とりあえず読んで、オモロなかったら読みやめて返しちまおう、なんて読み始めたら、青春物の傑作、ケッサク、大傑作だったのである。こういうのって、嬉しいのことどもなのだ。 題名に100連発なんて付いているので、ちょっと手に取りにくい気もしなくもないが、実は本書は大阪のコテコテの人々が集う戸村飯店の息子、ヘイスケ、コウスケが主人公。吉本新喜劇も小説内の材料に登場しているので、吉本お笑い100連発くらいの景気付けの言葉と受け止めるのが正しそうだ。しかし、評者からすると、100連発くらいの青春の材料が盛り込まれているような気もする。卒業時のラブレター、バイト、恋、兄弟の若い思惑、そんな青春だからのひとコマを拾い上げていったら100連発っていうか、テンコ盛りではあるのだなあ。 この小説の一番いいところは、気持ちのいい人ばかりが登場することである。ヘイスケ、コウスケも癖があるのかと思えば、素直なことこの上なく、周りを囲む人たちも気持ちのいい人ばかりなのである。コウスケの恋は実るのか、ヘイスケはこれからどう生きるのか、色んなことが最終的には置いてきぼりにされる話なんだけど、それはそれで許される屈託のない物語世界なのである。 今年の青春小説の押さえ本だろう。屈託のない小説を読みたい方は、読むべし、読むべし、べし、べし、べし。(20080718) ※瀬尾まいこ=女三羽省吾、今のところ当らずとも遠からず。(書評No819) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-07-29 13:26
| 書評
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Comments(0)
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from 粋な提案
at 2008-07-30 02:09
タイトル : 戸村飯店青春100連発 瀬尾まいこ
装丁はタカハシデザイン室。装画は小池アミイゴ。第一章加筆訂正以降書き下ろし。 大阪の下町、戸村飯店の兄弟は外見も性格も正反対で不仲。外面のいい兄を理解できない弟コウスケ。地元が苦手で高校卒業後東貴..... more
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from 猛読醉書
at 2009-01-24 09:39
タイトル : 『戸村飯店 青春100連発』 瀬尾まいこ
大阪の下町の中華料理屋で育った兄弟の青春小説。賢くて冷静で、しかしコテコテの大阪からは浮いている兄ヘイスケは、高校卒業と同時に東京の専門学校に入学し、小説家を目指します。熱血漢で家の手伝いもよくする弟コウスケは卒業後は家業を継ぐため、学校の行事にまい進...... more |
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