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「本のことども」by聖月

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2008年 08月 18日

◎◎ 再読再評価「てのひらの闇」 藤原伊織 文春文庫 660円 1999/10

◎◎ 再読再評価「てのひらの闇」 藤原伊織 文春文庫 660円 1999/10_b0037682_11371288.jpg 先日から、自分の中でマイブームになっているのが、デフォルトという考え方である。デフォルトとは何か、そういうことを、色んな局面で考えているのである。

 で、この場合のデフォルトの意味だが、元々英語でいうところの債務不履行だとか怠慢だとか、そちらのほうではなく、コンピューターでいうところの「標準値」「初期設定」のほうの意味である。

 最初に話題になったのは、友人たちとの飲み屋での会話。友人“俺、外で飲む機会多いけど、家では飲まないから”。評者“俺はお前さんほど外では飲まないけど、ほとんど家では晩酌するよ”そういう会話にソフト会社を経営する知人が“要は、何がデフォルトかということだと思うよ”そう言ったのが発端である。要するに、どういう状態に軸足があるか、通常性があるかと言うことである。

 つまり、原則的に晩酌をする評者は、デフォルトが飲酒、飲まないのがイレギュラーもしくはコンフィグということになる。友人の場合は、デフォルトが飲み癖なしということになる。評者も友人も、一年365日のうち、結果的に340日飲酒したとしよう。でも飲まなかった25日については、友人の場合は飲まずに済んだからであって、評者の場合は飲まないぞ!とか決心があった結果か、うう・・・風邪で飲めない・・・そんな状態になったからである。

 調べてみると、現代用語としてもある程度普及しているようで“自分は自転車通勤がデフォルトだから・・・”とか、“お昼ご飯のデフォルトは会社の隣の中華屋”とかいう言いようもあるようである。

 そこで、最近の評者は色んなことをデフォルト考に置き換えてマイブームになっているのである。評者のデフォルトは・・・“餃子の王将でのデフォルトは、餃子2人前にライス”“デフォルトで読書”“携帯はデフォルトアイテムではない”“ブログの更新は、以前はデフォルトだったが、最近ではなんだかなあ”そんな感じである。

 読書の話を出したが、書評ブログなんてやっている方は、おそらく本を読むことはデフォルトであろう。本を読み終えたら、何も考えず次の本を手に取るような。これが、デフォルトでない人の場合、さあ、たまには本でも読むか!なんて、ひとつの決心が入っての読書となるわけである。ちなみに、我が家の娘たちは読書がデフォルトで、嫁さんの場合はデフォルトではない。

 で、ここらへんで話を本書のほうに向けるが、評者の場合、シリーズ物を順序よく読むのがデフォルトであり、多くの読書人がそうであろうと思う。そして、今回やっと藤原イオリンの遺作である『名残り火-てのひらの闇Ⅱ』を図書館で借りることができ、『てのひらの闇』を既読の評者は早速読み始めたのであるが・・・前作の内容をすっかり忘れていることに気付いて、慌てて前作の再読に取り掛かったというのが事の次第なのである。やくざ、手の火傷痕、バイク、その3つのキーワードくらいしか記憶になかったのが、読み進めるにつれて、線となり像を結び、結局、本当に内容を忘れていたわけで、話がどう展開していくのかワクワクして読んだのである。いやあ、かつて(10年ほど前に)読んだはずなのに面白かったあ(^O^)/

 しかし、この主人公の生き方のデフォルトは渋いなあ。評者もハードボイルドな生き方がデフォルトだったら格好良かったのだが、元来デフォルトがお茶目なもんで、ただただ憧れるのみである。

 飲料品メーカーの早期退職に応じた主人公。その会社の会長の自殺。会長とは、自分をこの会社に引き入れてくれた人物である。その理由を探るべく行動する主人公の周囲には、やはりハードボイルドのデフォルト定番、一緒に行動してくれる粋な美女や、粋な飲み屋、粋な音楽に粋な飲み方、粋な会話が登場するわけで、周りに粋な美女がいなく、ダラダラ飲むだけの飲み方しかできない評者の場合、やはりハードボイルドをデフォルトにするには無理があるようである。

 ところで、『名残り火-てのひらの闇Ⅱ』のほうは、もう2/3くらい読み進めているところだが、これからこの遺作を読もうという方は、是非前作『てのひらの闇』を直前に読んでいただきたい。いや、昔読んだよ、なんて方も、背景の見え方が全然違ってくるので、是非に是非に。

 そして、昔読んで適当に面白かったはずのイオリン本が、こんなにも面白かったのかと再確認してほしい。まだまだ次作が読めるだろうと思って読むイオリン本と、もう次作は読めないのかと思って読むイオリン本じゃ、評価が全然違ってくるはずだから。要するに、イオリン本同士を比較してしまうとまあまあかなと思ってしまう過去の読書体験があったとしても、やはりイオリン本はこんなにも全部面白かったんだと思う、今の気付きがあるはずだから。(20080816)

※『雪が降る』手持ち本も、どこかで再読したくなってきたのことども。(書評No826)

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by kotodomo | 2008-08-18 11:37 | 書評 | Trackback | Comments(0)


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