2008年 12月 02日
『ダルジールの死』レジナルド・ヒルの書評の中で、2009年版このミス1位はこの作品で決定でいいんじゃないの、と遠慮がちに主張した評者なのだが、声高に叫ぼう。今年のこのミス2009年版の1位は本書『スリーピング・ドール』で決定しました!!!。 あのリンカーン・ライムシリーズの6作目『ウォッチメイカー』で魅力的な活躍を見せたキネシクスの専門家キャサリン・ダンスのスピンアウト作品が、本書『スリーピング・ドール』である。 キネシクスの説明については、面倒なので『ウォッチメイカー』の書評内からコピペしよう。“このキネシクスという手法、相手の会話の状況、しぐさから、ウソを見抜き、示唆するものを見通すもので、いわゆる“論理的な人間嘘発見器”なのである。人間嘘発見器なんて小道具は、読者はみな歓迎するし、そこに論理的な裏付けが語られるなら、読書の楽しみは倍増なのである。”と、当時の評者は説明しているぞ(笑)。 本書は、脱獄犯とそのキネシクスダンスの知恵比べのサスペンスフルなミステリーなのである。殺人犯へのインタビュー後、ダンスはある奇妙なひっかかりをおぼえる・・・もしや、脱走?と思いついた瞬間、収容施設から爆発音があがり、殺人犯は脱獄犯、逃亡犯へ転換。でも、脱獄犯はやはり殺人犯なわけで、行く先々で罪を重ねながら、逃げ延びようとするわけである。ところが、この男、天性のキネシクスの才能を持ち合わせており、つまるところダンスと犯人の先読み合戦となるわけである。いやあ、それが面白いのなんのって。 勿論、チョイ役でリンカーンやアメリア・サックスも出てくるサービス付き。いやあ、これがこのミス1位でなきゃ、何が1位になるっていうの?聖書くらいしか考えられない。(20081122) ※ディーヴァー未読の方、是非本書から入りなさい。そのエンタメ性に驚愕乱舞したまえ。とにかく読むべし、読むべし、べし、べし本である。(書評No843) 書評一覧 ↑↑↑「本のことども」by聖月書評一覧はこちら
by kotodomo
| 2008-12-02 12:36
| 書評
|
Trackback
|
Comments(0)
|
アバウト
カテゴリ
ことどもカテゴリ
意外と書評が揃っているかもしれない「作家のことども」
ポール・アルテのことども アゴタ・クリストフのことども ジェフリー・ディーヴァーのことども ロバート・B・パーカーのことども アントニイ・バークリーのことども レジナルド・ヒルのことども ジョー・R・ランズデールのことども デニス・レヘインのことども パーシヴァル・ワイルドのことども 阿部和重のことども 荒山徹のことども 飯嶋和一のことども 五十嵐貴久のことども 伊坂幸太郎のことども 伊集院静『海峡』三部作のことども 絲山秋子のことども 稲見一良のことども 逢坂剛のことども 大崎善生のことども 小川洋子のことども 荻原浩のことども 奥泉光のことども 奥田英朗のことども 香納諒一のことども 北森鴻:冬狐堂シリーズのことども 京極夏彦のことども 桐野夏生のことども 久坂部羊のことども 黒川博行・疫病神シリーズのことども 古処誠二(大戦末期物)のことども 朔立木のことども さくら剛のことども 佐藤正午のことども 沢井鯨のことども 柴田よしきのことども 島田荘司のことども 清水義範のことども 殊能将之のことども 翔田寛のことども 白石一文のことども 真保裕一のことども 瀬尾まいこのことども 高村薫のことども 嶽本野ばらのことども 恒川光太郎のことども 長嶋有のことども 西加奈子のことども 野沢尚:龍時のことども ハセベバクシンオー様のことども 初野晴のことども 花村萬月のことども 原りょうのことども 東野圭吾のことども 樋口有介のことども 深町秋生のことども 『深町秋生の新人日記』リンク 藤谷治のことども 藤原伊織のことども 古川日出男のことども 舞城王太郎のことども 町田康のことども 道田泰司大先生のクリシンなことども 三羽省吾のことども 村上春樹のことども 室積光のことども 森絵都:DIVEのことなど 森巣博のことども 森雅裕のことども 横山秀夫のことども 米村圭伍のことども 綿矢りさ姫のことども このミス大賞のことども ノンフィクションのことども その他全書評一覧 最新のコメント
最新のトラックバック
|
ファン申請 |
||